写真は、江戸期の宿場町住宅の土間に据えられたかまど。
大人数が働く商家で、その胃袋を満たすための装置なんですね。
首都圏の古民家を集めた場所に移築されたものなんですが、
「かまど」なのにまるで神様のように飾り立てていてユーモラス。
大人数の働く意欲を刺激する装置ですから
一番大切なインテリア装置だったものと思われます。
こういうたくさんの人間のための労働施設では
目に見える「腹一杯食べられそうだ」という部分が意味が大きかったのでしょうね。
北海道でも、ニシン漁のための働き手、
季節労働者を集めるための魅力的な条件として
「めしはいくら食べてもタダ」というものがかなり有力だったそうです。
労働者勧誘に当たって、こういう条件は
最大の口説き文句だった。
それだけ、食べていくということが難しい、貧しい時代だった。
しかし、このかまど、釉薬まで塗り込められていて、
また、形態も曲線が強調されていて、
現代のシステムキッチンにまで通じるようなデザイン性。
確かにうまそうな飯が炊きあがりそうな印象が強く感じられます。
このあたり、かまど製造の発注者であるこの建物のオーナーの
認識のありかを、そこはかとなく伝えてくれている気がしてくる。
どんなことがあっても、食べるだけは安心だなぁ、と思える装置なのか。
このかまどは、作業場としての土間にどんと置かれていたので、
建築的な配置意図としても、そういう計算はあったことでしょう。
料理をしていると、少し作るよりも
たくさん作った方が、味わいが深くて、おいしく出来上がる気がする。
きっと、素材のハーモニーがより大きく働いてくるからではないかと思う。
こんな装置から出来上がってくる食べ物、
一度食べてみたいというくいしんぼなのは、わたしだけでしょうかね。
北のくらしデザインセンター
NPO住宅クレーム110番|イザというときに役立つ 住まいのQ&A
北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
Posted on 12月 16th, 2008 by replanmin
Filed under: 住宅性能・設備
コメントを投稿
「※誹謗中傷や、悪意のある書き込み、営利目的などのコメントを防ぐために、投稿された全てのコメントは一時的に保留されますのでご了承ください。」
You must be logged in to post a comment.