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俵屋宗達「風神雷神図」実物初見

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今回の東京出張は、いくつかの会合出席がメインですが、
時間の合間にこちらを見るのが本当の希望でした。

このブログの読者の方は、
わたしの「風神雷神図」好きはご存知かと思いますが、
しかし、実物展示はまだ経験しておりませんでした。
なにものでも、実際に触れてみて(って、さわるわけではありませんので・・・)
はじめてその醸し出す雰囲気というのが体感できる。
で、俵屋宗達さんの筆使いというのを間近に見られて
まことに心を打たれました。
きのうは、金曜日で天候はあまりよくないし、しかも午前中の時間という
稀有な幸運が重なっておりましたが、
この国宝の前で数十分ほど、絵と対話するような時間を過ごさせていただきました。
つい先日、後藤純男さんの現代日本画とも対面して
また、約500年前の日本人の想像力と対話できたワケであります。
生まれてきてよかったなと思います。
そういえばわたし、若いときにヨーロッパに行って
モナリザをルーブル美術館なども見てきた経験があります。
実物が案外に小さいと言うことを、鮮明に覚えている。
それからいろんな絵を見てきたけれど、
やっぱり実物で見るというのは、独特の感慨がある。
浮世絵の、ビードロを吹く女だったか、
そこにそっと展示されている作品を見て
画面の小ささに驚き、またその色気のすさまじさに驚愕したり・・・。
本当に面白く迫ってきてくれる気がします。
で、大好きな「風神雷神図」。
なんといってもその大きさ、たっぷりとした作品としての量感に圧倒される。
1.8m×3.6mほどなのだと思うのですが、すごい存在感。
そして、次に印象がなんと現代的なのだろうと驚かされる。
500年前の日本人が生み出したモノなのに、
なんの違和感もなく、いまの感受性とそのまんま繋がっている気がする。
風神も雷神も、まるで現代で言えば、たけしとさんまほどにも
圧倒的なポピュラリティで迫ってくる。
表情も動作も、歌舞伎役者がクライマックスで見せるような
あるいは、フィギュアスケートの羽生君や、真生ちゃんのような
そういった体技がそのまま表現されている。
ぐっと反り返った足の各指先の力感など、
日本人が慣れ親しんできた田んぼでの力仕事の筋肉表情を感じさせる。
なんとユーモラスなのか。
この題題の特異性は一体、だれのオリジナリティであったのか、
まぁどう考えても俵屋宗達さん自身であることは間違いないだろうけれど、
宗教画というジャンル性を一気に超越して
この江戸初期という時代が持っていただろう、自由さを余すところなく感じさせてくれる。
日本マンガ表現の源流をまごうかたなく感じさせられ
見ていて、とにかく圧倒的に楽しい。
たいへん楽しい時間を過ごさせていただきました。

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