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木造の進化

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昨年秋、東大の大型木造講堂「一条ホール」で、ヨーロッパ木材セミナーが開かれた。
ヨーロッパの木材産業が、日本でのさらなる需要拡大を狙って仕掛けたちょっとアカデミックなセミナーでした。
そこでは、地球温暖化・持続可能な建築材料としての木質材料の再認識・再発見がテーマ。単純にいえば、最低60年掛けて育成された木は、その生長のプロセスで酸素を出し、二酸化炭素を取り込み、建築材料となっても最低60年、普通100年、もっとコントロールすれば数百年間にわたって二酸化炭素を封じ込めている。それは日本の大型木造建築、奈良や京都などに存続している大型建築が証明している。
だからわたしたちは、木造に21世紀の建築の可能性を賭けているんです、というアピール。
明快でわかりやすかった。
そしてそのために、ヨーロッパの研究者・技術者・建築家たちは木の欠点を克服する材料素材としての木の進化に取り組んでいる。その歴史は帝政ドイツ時代からつづいている「集成材」の技術。
この進歩が、こんにちヨーロッパ各都市のランドマーク的な大型建築が木造で建てられていることにつながっているということ。こうした建材をつかってごらんのようなCAD画面からそのまま、造形したような自由な木造表現が可能になってきている、という発表もありました。日本では、木の接着に使う接着剤について、まだ当局の許諾が得られていないので、集成材技術がヨーロッパほど進化していないということでした。
こうした積極的な売り込みをして、全世界に木材を輸出していながら、計画的に産業化させることで、ヨーロッパでは森林面積が増加している、(いやさせるように考えているということか)という報告もありました。まだまだ、日本は謙虚に学ばねばならないことが多いな、と感じた次第。
写真は、フィンランド・ヘルシンキの街の高台に建てられた公園内の「四阿〜あずまや」。
遊び心・創造性を刺激してくれる、新しいけれど、なんか伝統的な建築だと感じます。

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