写真はわが家の主居室に施した「格子天井」の様子です。
わが家は、1991年の建築でして、ことしで築24年目ということになります。
建築当時は建築家・倉本龍彦さんが活躍されていた時期で
わが家の設計をお願いした高村正夫さんも知遇を得ていて、
ぜひこういう天井のデザインを採用したいということになったのです。
よく倉本さんの設計作品ではこの格子天井を見ていました。
ただし、そのデザインについては各人で違いがあったように思います。
施工はきわめて大変です。
これは、天井自体はコンクリートスラブでして、
その視覚的硬質感をやわらげるのが目的だったように思います。
そのコンクリート面からアンカーを吊り下げて、
それに組み上げた木格子を取り付けていくわけです。
4cm角の垂木材を2層に組み上げてあります。
で、建て主としてはその後現在に至るまで、
この格子天井を眺めながら暮らしてきた次第です。
なんというか、独特の「わが家」感をもたらせてくれていまして、
嫌いではありません。
まぁ自分で合意して採用したので、当たり前か(笑)。
ただ、その後、あんまりほかではこの住宅デザインは見ていません。
やはり合理的な施工方法ではなく、
一般に受け入れられるデザインとは言えなかったのだろうと思います。
わが家はコンクリートブロック造・外断熱ですが、
それもきわめて希少な建築と言えるので
まぁ全体として物好きのレベルともいえるでしょうね(笑)。
ただ、この格子天井、ずっと過ごしていて、
それなりの愛着を感じております。
独特の陰影感があって、単調になりがちな天井デザインへの物申す感がある。
こういうところでも作り手としての主張をしたい欲求は理解出来る。
建築のデザインって、たとえば施主にとってどういう意味があるのか、
自分自身でモルモットになってきたのですが、
本質はやはり「個性を主張して生きていきたい」ということなのでしょうね。
そのいくつかのディテールとしてこのようなデザインを生むのでしょう。
その根本のところで、そういう意志が隠されているのだと思います。
きのう、ある設計者の健康回復宣言パーティに行ってきて
いろいろな若いひとと出会って、
たいへん楽しいひとときを過ごせました。
たとえば、こういうマイナーな表現手法に込められた部分に反応するような、
そういう人間としての同質性を感じるのでしょうね。
Posted on 6月 3rd, 2013 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅性能・設備
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