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少ない家族数の家って?

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おとといの続きで、家と家族数の話です。
さて家族数の減少は、どんな変化を家にもたらすのでしょうか?
この問いで思い出されるのが、たったひとりのために建てられた小樽市銭函の、海の見える高台に建てられた家。この家は、仕事に明け暮れてきた自分の人生を振り返り、最後は思い通りの生き方をしたい、と設計者と一緒に考えてたどりついたもの。
建て主さんはべつに独身ではなく、夫婦が暮らす家・日常を暮らす家は小1時間ほど離れた、以前から住んでいる札幌にそのまま建っているのです。
ようするに、個人の思い通りに好きな家を建てたが、建ててみたら奥さんは一緒には住んでくれなかった、というような家なんですね、これが。
家としてはたいへん明快なプランでして、「海を眺め、その表情の変化をくらしのなかで存分に楽しむ家」ということで、そのこと自体は、1/fのゆらぎ、って一時期よくいわれた「自然のリズム」と同化したいという欲求を満足させるプランなわけです。
ものすごく「豊かな」家づくりですよね。
しかし決定的に重要なのは、団塊の世代でたぶん進行している、夫婦の価値観のずれゆき、というポイント。奥さんは、きっと自分なりのくらしを楽しむ生活ネットワークが存在して、それから切り離されるくらしは考えられないのだと思うのです。
一方でご主人は、一生掛けて(好きなことを我慢して)会社勤めしてきて、ようやく念願かなったような暮らし方を実現できた、のです。
この「ずれゆき」は、別に愛情うんぬんという問題とは関係がないだろうと思えます。
これからの「注文住宅」を考えたとき、どうも限りなく「個」の方向が強まってくるのかなぁと。
さてさて、住宅のつくられようは、どの方向に向かっていくのでしょうか。
<写真提供/安達治>

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