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【戦争と人口増はウラ表 平和な社会は人口平衡】

しばらく北総研の研究発表での地域問題、人口減少社会テーマを考えました。
2045年で北海道地域人口が25%減少する未来予測に対して
地域自治体はどう対応するか、そして社会はどうすべきかは
真剣に取り組まなければならない。人口増は非常に難しい。
そもそも現代世界で人口問題が大きく扱われるのはそれが「市場の規模」を
決定し、それによって経済が大きな影響を受けることが大きい。
とくに住宅建築にとってはこの趨勢がいちばん重要なポイントだというのは
誰が考えても当然でしょう。
ただ、住宅着工数は近年は変化が「なだらか」な推移を見せる傾向。
マクロの人口動態より、むしろ景気対策とかによって影響を受けることが多い。
また、住宅は新築需要だけが存在するものではない。
基本的に人口問題との関係は冷静な視点で見る必要があると思える。

マクロ視点では上智大学経済学部教授・鬼頭宏氏の歴史人口学の研究では
江戸時代は戦国終結での開始期1600年ころに約1,400万人から
120年後に3,100万人口に到達して、幕末まで平衡状態で推移した。
では幕府は人口政策を持っていたのかというと、
そういった自覚的な政策はなかったのだろうと思う。
安定社会存続という志向から人口増加よりも平衡型の方向性が選択されていた。
それに対して、明治期以降は国民国家としての帝国主義国際情勢に対応して
殖産興業と、相次いだ戦争から基本的に人口増加が志向された。
で、第2次世界大戦での日本の戦死者数が310万人と巨大だったことで
戦後、一気にベビーブームが社会を覆った。
そこから1億2,000万人まで人口増加が続きそしていま人口減に直面する。
人口動態の推移では上のようなグラフが常識的に参照されます。
いわゆる「合計特殊出生率」を先進国で国際比較した資料。
現代は先進国では人口は平衡的状態にある趨勢。
わたしの両親は戦争中に結婚して、合計6人のこどもを産んだ。
それに対して子ども世代であるわたしの兄弟はおおむね2〜3人だった。
合計特殊出生率は低下しているけれど、図を見れば
多くの先進国ではいずれ、このような推移をするものなのでしょう。
こういった人口平衡というのは平和時の人類傾向のように思う。
逆に言えばビッグバン的な「人口増加」の方が特異なケース。
悲しいかな、戦争という事態が人口増減の決定的な誘因なのではないか。
戦争による出生増の特殊要因と国民健康向上での高齢化の相互作用で
明治以降と戦後の特殊な「人口増」があったというのが実態に近いのではないか。
国際外交の活発化や「国際世論」による緊張緩和バイアスの向上で
先進国間での大きな戦争が今後考えにくいとすれば
人口問題というものは自然にバランスしていく可能性も高いとも思える。

平和な時代には、おおむね2人の親から2人程度の子どもが生まれるのが平常。
経済と人口問題は関係はあるけれど、相対的には独立的な事象。
現代では経済政策、その運営が一番のキモ。
そこを安定させることが、人口動態変化に対応する最良の道なのでしょう。

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