最近、窓の位置についての概念が変わってきている。
これまでは、窓の大きさというのも、ほぼ規格サイズで、
おおむね居間では床までの引き違いまどで、1810サイズの天地左右
というのが一般的だったのですが、
そういう既成概念的な窓の大きさは一変しているようです。
どちらかというと、無表情なガルバリウムなどの外壁に、
横長とか、縦長とか、
いかにも、デザイン的にシャープでしょう、
って主張しているような住宅が多い、
国民住宅的な、サザエさんの家のような田の字型で表現される窓が少ない。
団塊ジュニア世代以降、
こういった「閉鎖的な」外観になる窓の開け方の住宅が好まれる。
そういう窓のデザインが、幅を利かせてきている。
こういう窓の開け方の理由を考えると、
外界との関係性の問題であり、
都市的環境で、単純に窓を開けても隣家の窓が見えるだけ、
っていうような条件が大きく関わっていると思います。
どうせそういうことならば、採光ということのみに条件を絞れば、
写真のような開け方が合理的になってくる。
さらに、コンパクト志向が強まってきて
リビングスペースもそう面積は増えず、
であるのに、テレビの必要面積は増大した結果、
壁面が横に拡張してきている。
勢い、壁面の多い閉鎖的な環境が増えてきているといえる。
一方で、公共建築や大型ビルなどでは、
壁面全部がガラス張りというケースが増えてきている。
デザイン的「開放感」を意図しているようですが、
しかしそういう建物、実際に利用状況を見ていると、
太陽光日射取得熱が強すぎるので、
ほとんどがブラインドが常時閉めきられています。
設計者は見かけ上の開放感を建て主へのデザイン提案としているけれど、
利用するユーザー側では、まったくそういう利用の仕方をしていない。
どうも、こういう建て方の仕事環境の現実に対して
無意識のうちに、個人の住宅ではアンチテーゼが示されているのかも知れません。
町の中で、外部に対して無表情な住宅が、いま大量に増えている。
外界とのコミュニケーションが希薄な住宅群が増え続けている、
っていうように思う次第ですが、
みなさん、どう思われるでしょうか。
北のくらしデザインセンター
NPO住宅クレーム110番|イザというときに役立つ 住まいのQ&A
北海道・東北の住宅雑誌[Replan(リプラン)]|家づくり・住まいの相談・会社選び
Posted on 9月 13th, 2010 by replanmin
Filed under: 住宅性能・設備
はじめまして、たまに寄らせていただいております。
今回の窓考について、最近のモデルハウスを見る機会があって同じことを考えていましたので思わずコメントさせていただきました。
生活様式やTVなど家電の形によって暮らしは変るし、それで窓の形は変わるもの・・・それ自体は悪いことではないし、合理的に考えるとそういうこと確かにこうなりますよね。
でも、私は窓の役割は採光や通風だけでなく、社会とウチ(家庭)とを繋ぐものではないか・・・そんな風にも考えていたので、窓に暮らしがみえてこない無表情な家並みが増えてきていることに、少し社会自体がコミュニケーショを拒否しているような気がして・・・。
開けっぴろげにしろ・・・というわけではないのですが、窓辺が素敵だとその家に暮らす方の優しさを感じるんですよね。
http://ameblo.jp/denen-kurashi/entry-10106870021.html
北海道田園暮らしさん、コメントありがとうございます。
まったくおっしゃられるとおりだと思います。こういう感覚は、最近の「住宅110番」の「相談」から伺われる他者との関係性をも表現している気がいたします。
みずから積極的に社会に対してコミットしようとは考えない、そういう個人主義がどうも、ものすごい広がりを持ってきているのではないか。
欧米的な、歴史に根ざして十分に練り上げられた個人主義ではない、やや性急な個人主義、というようにも感じる部分があります。