新型コロナへの「対策」でようやく具体的な分析結果が出てきた。
3/1(日) 20:41配信の「朝日新聞デジタル」配信記事(要旨)。
〜新型コロナウイルスの感染を受け安倍晋三首相は1日、政府対策本部会合で
「換気が悪く人が密集する空間に集まるのを避ける」よう国民に求めた。
専門家調査でスポーツジムや屋形船などで小規模な患者集団(クラスター)が
発生し、1人が12人に感染させた例があったという。〜
・・・なんとなく新型コロナ感染事例報道から感じていたことだけれど、
今回のような「感染症」では「換気」の問題が大きく関連するのではないかと
直感的に感じられていた。記事に加えるとすると、クルーズ船の船内環境では
どのような「空調環境」であったか、確認して欲しいと思う。
<追記です。一部報道ではクルーズ船ダイヤモンドプリンセス号の空調は
「船の内部だけで還流する循環式」とされていましたが、それは不正確で
このクルーズ船の造船技術者からの公的「換気設備の論文」を入手し確認したところ、
この記事表現は不正確だと思われます。正しくは通常のビル空調などで一般的な
「換気と温湿度管理」を計画的に行う空調が導入されていました。
したがって一義的にはやはり換気による「エアロゾル感染」経路とは考えにくく、
保菌者との濃厚接触が主たる原因であろうと推察されます。>
高断熱高気密住宅進化過程で最初期に「ナミダタケ事件」というものがあった。
1970年代後半、札幌市を中心に木造家屋が腐る被害が頻発した。
この騒動の犯人はナミダタケというキノコ。ナミダタケとはキノコ表面から
たくさん水滴が生じる特徴に由来する名前。
ナミダタケの菌糸は木造で建築時に床下に放置された木材の切れ端に
まず入り込み栄養を得る。それを足がかりにして床の木材へと侵入する。
北面の換気の悪い洗面台や浴室などの水回りが特に好みとされる。
事件の背景には低温環境がこの菌糸には適していたことがある。
初期の断熱気密工法段階では床下などが結露しやすかったことや、
「換気不良」だったことが被害の拡大につながった。
換気が悪く湿気がこもれば、微生物類の大繁殖場になるという教訓。
こういったきびしい試練を経験して「断熱・気密・暖房・換気」という
4つの基本要素が建築的解決法とされ、現代の高断熱高気密工法が誕生した。
ひるがえって、この新型コロナウィルス感染環境として
このような寒冷地住宅の環境体験が類推された、ということです。
こういったミクロの環境に於いては「換気」ということが
もっとも留意されるべき事柄になるのではないか、という直感。
いまのところ発信されている情報では「エアロゾル感染」であって
「空気感染」ではないという前提であれば、換気対策はきわめて重要になる。
ミクロの世界での新型コロナウィルスとの「戦い」では
ウィルス自体をやっつけるワクチン研究はぜひ頑張っていただきたいけれど、
それには当然時間がかかることが確実でもあり、
このような「感染防止」対策のほうが具体的な行動指針になるのではないか。
さらに今後の情報開示に注意していきたいと思います。
<左はナミダタケ。右の新型コロナ写真は東京都健康安全研究センターHPより>
Posted on 3月 2nd, 2020 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング, 住宅性能・設備, 状況・政治への発言
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