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【水害から人を守る家とは?】

水害は毎年のように繰り返される。
気候変動によって台風の脅威は確実に増大している。
この気候変動がどういう要因かは論議のあるところだけれど、
少なくとも戦後の経済成長期は気候安定期だったことがわかってきた。
そういう時代を「常識」として社会構成されてきているけれど、
現在では、その常識を気候変動が超えるようになってきたといえる。
今回の台風の大雨と各地で相次いだ堤防決壊の規模は
まことに「常識を越えて」甚大化してきています。

知人が宮城県吉田川流域での堤防決壊で被災した。
住宅のことを考える仕事でもあり、お見舞いに訪問させていただいた。
以下、地域の情報でありその内容の確認は十分ではありませんが、
被災された方からの伝聞情報に基づいて記述します。
日本の農業は基本的に米作適地を選んで展開している。
河川の流域がそういう好適地として考えられるのは必然。
毎日その生産管理の利便のため住居もその流域に展開する。
水利の利便性最優先で居住地選択がされるのは当たり前です。
この吉田川に隣接した「集村」では高い堤防が川に沿って造成されていた。
しかし、上流の1箇所で決壊した洪水が川に沿って大量に流水していった。
この集落は平成の大合併で地元のより大都市の一部として
自治体が「統合」された。地元に万一の「排水ポンプ」の備えもあったけれど、
広域自治体の中心地域ではそういうきめ細かい判断ができなかったので、
現に水害に遭っているこの地域でこの排水ポンプを使えなかった。
それは他の地域に「貸し出されていた」のだという。
こうした対応には相当に怒りのマグマが溜まっているように思われた。
事実、広域自治体の担当者がこの地域を訪れたのは発災後3日後。
テレビニュースでもそのときの様子が伝えられていた。
堤防決壊はこの自治体とは別の隣の町での出来事であり、
この自治体としては縁辺のさらにとなりの自治体での決壊情報に対して
やや機敏さに欠ける判断だったようなのです。
この決壊の危険性について情報も十分ではなかったようで
集落全体で避難したけれど、「万が一」と考え身一つだけで避難した
そういう人が多かったとされていました。
結果、予想をはるかに超える災害になって、足であるクルマは壊れ、
衣類の大部分も着用できなくなってしまったというのです。

住宅の状況では、基礎と冠水被害のことが気に掛かった。
知人宅では床下断熱を採用していたのですが、
水が引いてから床下のドロを掻き出して薬剤散布後、
木材の乾燥を待ってから復旧させることになります。
しかし「基礎断熱」の場合には、構造材を乾燥させるのに相当の
時間や手間が掛かってしまう可能性が高い。
ドロや水を掻き出すのに手間も掛かり、乾燥にはさらに時間が掛かる。
基礎レベルを超えない場合には問題がないけれど、
それを超えての「越水」に対しては、復元させるのに相当時間が掛かる。
また、この地域では基礎自体を高くしている住宅もあったそうで、
その家では床面までは冠水しなかったとのこと。
過去の水害での浸水レベルを考えて造作していたということ。
水害被害に対しての第1の留意点は
「冠水被害」に対してどう対応すべきかが最大のポイントでしょう。

<写真は今次水害で各家庭から排出の災害ゴミ群>

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