昨日は北海道の工務店グループ・アース21の例会。
写真は北清建設さんの長沼町の現場です。
北海道は地域らしい暖房として薪ストーブがたいへん人気がある。
高断熱高気密を追究していけば、薪ストーブのような
エネルギー消費のコントロールのしにくい暖房は非論理的ではあるけれど、
やはり人間はそういう論理だけでは生きていない。
とくにこちらの住宅は農家住宅なので、屋外での作業から
室内に帰ってきたときに、炎が持っている体感輻射と
目で感受するその美感というか、DNA的なやすらぎが癒してくれる。
むしろ熱的には補助的な暖房装置ですが、設置を希望される方が多い。
そうなると、この輻射熱を効率よく「蓄熱」させることで、
より効果的な暖房とさせる必要が生じてくる。
石系の保温壁が効果が高いのですね。
で、ごらんの写真のような石の背景壁が装置される。
北海道ではこういった場合、レンガを積むのが一般的。
開拓期以来、北方建築の素材としてレンガは多用されたので
今に至るも、レンガ関係の流通が盛んに行われます。
しかしこちらでは、奥さんが「大谷石、使って」というリクエスト。
奥さんの希望は個人の出身地域的なこだわりからなのか、
あるいは「大谷石」ブランドへのこだわりなのか、は不明ですが
こういう施工が行われたのですね。
大谷石は東京でも明治以降、洋風建築などで多く使われた栃木県の特産品。
わたしは切り出しの現場も見学したことがありますが、
北海道では先日来触れてきた「石山軟石」が石材としてはポピュラー。
わが社の玄関前には石山軟石を踏み段として利用しています。
この石山軟石、最近、北海道遺産という指定を受けたとのことで、
注目度が高まったからか、需要と供給の関係から値段が上昇気味とか。
そういった間隙を突いて大谷石流通が盛り上がってきているのかも。
こういう輻射熱壁利用の場合には、たしかに石山軟石は軽い分、
蓄熱性能は劣る。まぁレンガの方がもっと性能はいいけれど、
っていうような市場状況、性能比較状況が見て取れますね。
地域の人間として地域産品への愛着もありますが、
物流が大きく変化した時代にあって、こういう選択肢の拡大も頷ける。
大谷石をこのような用途で利用するのはありそうでないかも。
ちょっと輻射感を体感してみたいなと思いました。
Posted on 10月 9th, 2019 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング, 住宅性能・設備
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