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【堀部安嗣「つくばの家」下屋開口部が刺激的】


さて、きのうまで連続で書いている
里山住宅博 inつくばでの堀部安嗣さんのバンガードハウス。
設計のポイントは3間半×3間半グリッドに「差し込む」ように加えた下屋。
わたしどもは北海道がネイティブなので、
そもそもが「下屋」という建築概念とは距離感がある。
しかしニッポン人ネイティブとしては、建築的DNA感がある。

下屋は、中核的構造に対してより人間的な「いごこち」を想起させる。
伝統的な京都の社寺建築などでも庭との対応として、
「縁側」的に、より中間領域的に融通無碍に作られるように思います。
たぶん日本的な自然環境との応答に主眼がある。
このあたりは、北海道としてはどうしてもバリアがある。
そのことに同意はできるけれど、同じように北海道でできるかと言えば、
悲しいけれどできにくいというのが現実。
この下屋から差し掛かっている屋根は軒先も非常に華奢にできている。
「なるべく薄く」というディテール感でしょうが、
積雪荷重を考えれば、非常にあやういと感じさせられる。
しかしそういう違いは、だからこそここは「つくば」なのだという
「地域性」の豊かな表現でもあると同意できるのですね。
やはりつくばでの「最適解」があるのだと、むしろリスペクトを持つ。
そして、その設計趣旨がより明確に表れるのが
戸袋以外はほぼ全面が「開口部」というその建築表現。
3間半グリッドの総2階が防御的な断熱気密空間仕様なので、
よりこの「違い」が明瞭に伝わってくるのですね。
室内デザイン的にもこの開口部が、キモになっている。


で、この開口部の「仕掛け」のオモシロさに引き込まれていた(笑)。
3連窓がワンセットで、真ん中が簡易な金具でスライド開閉できる。
その外部に網戸とガラス窓の2連の可動窓が備えられている。
木製の建具仕事で、このあたりの職人仕事文化も
本州地域の作り手の底深さを感じさせられる。
もちろん雨仕舞としては長大な「庇」が守っている。
この地での気候条件からは、機能性維持が十分可能だろうと推定できる。
金具は北海道や北欧標準の気密に配慮した重厚なタイプではない。
その分、非常に直感的に操作しやすく庭・外部との境界感が希薄。
こういう3連窓が長手方向で3つ連続されている。
この開口部仕様に対して、戸袋からは「障子」風の内側遮蔽装置が
さらに滑り出てくるのですね(笑)。
日本建築はこういう「建具」による文化である側面が強い。
このあたりも、北海道が進んできた志向性との違いを感じる。
北海道では丹念な職人仕事というものに依存しにくい業界構造。
こういった窓辺の複層的な感受性装置の積層が
なかなかに「たまらない」醍醐味として感じさせられました。

こういう融通無碍な「下屋7.5坪」を含めてなお、
Q値計算では次世代基準北海道と同等の1.6レベルと書かれていた。
そのバランス感覚にも納得できた次第です。

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