杉の森というのはごくふつうの景観と思っていましたが、
毎日散歩している北海道神宮周辺でみられる杉木立は
どうも人為的に植え込まれたもので、
杉の「北限」であるということだそうです。
北海道には自生する杉はなく、この杉は北海道神宮の開基に
あたって植生させてそれがみごとに成長しているということ。
ふだん全国あちこちの神社仏閣を巡り歩く趣味生活なので、
そういう杉にまつわる北海道の特殊性を忘却する。
先日もこの「木道」のことを書いていたら、読者の友人から
再度、この事実を指摘されたのです。
まぁ歳とともに、忘れっぽくなるというか(笑)。
スギ林は、適度に間引きさせることで
陽光が下草類にまで到達するように管理されている。
わたしの好きな「オオウバユリ」もこのスギ林のなかで
元気いっぱいに各所で生育してくれている。
それほど日射は強くなく、右手には小川も流れているので
やや湿潤な森という環境が形成されていて、
オオウバユリには格好の生育環境なのでしょうね。
そういえば本州地区での杉林には、あんまり下草類の繁茂はないかも。
オオウバユリはその球根部がアイヌの人たちの貴重な
デンプン供給源であり、いのちを繋いできたソウルフード。
そういう湿潤な地域環境に日本的植栽である杉が植え込まれて
アイヌのソウルフードと共生している。
この杉林を管理の面倒な木道で繋いでいるというのは、
北海道神宮の周辺であり、この地の調和ということを祈念して
先人たちが務めてきた事柄であるのかも知れません。
こういうネイティブな自然そのままではない北海道らしさというものも
こころに留めていく必要があるでしょうね。
Posted on 6月 9th, 2019 by 三木 奎吾
Filed under: 「都市の快適」研究, 日本社会・文化研究
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