本日は再び、アース21総会での鎌田紀彦氏講演より。
先日書いたように、鎌田先生としては基礎断熱から
「温熱環境コントロール」すべき気積がより少ない「床断熱」を
志向していく考え方を発表されていました。
寒冷地として、必要な「暖房用エネルギー」の絶対量があるレベルで
不可欠である北海道のビルダーとしては、
エアコン1台での室内環境制御が長期にわたって担保可能かどうか、
なかなか声が出ない、というのが「場の雰囲気」であったとはいえます。
事例として出されていたのは、新潟のオーガニックスタジオさんの事例。
基礎断熱された床下空間に暖房装置を設置することで
冬期の室内環境を全室一体のものとして室温・環境制御することは
基本的に寒冷地住宅技術の骨格を形成してきた。
暖気は上昇するという基本の性向を活かすものなので、
直感的にも理解しやすかった。
その基礎断熱をキャンセルして1階床断熱で代替させると、
土間下空間が消失するので、これまでのような
チャンバー的な床下利用想定ができなくなる。
そこで同様の活用ができそうだと目をつけられたのが1−2階の「階間」。
ここに、できればダクト式エアコンを入れ込んで
上下階に加温、冷却空気を供給するという考え方。
説明書きにも書かれていますが、
「暖房時は1階天井のブースターファンを作動させる。
2階は自然ガラリで十分。冷房時には2階は床のブースターファンを
作動させ1階は自然ガラリを使う。」という作動設定。
施工上の注意ポイントとして
「冷房時、階間部の外壁での夏型結露を防ぐため、防湿シートの内側に
50mm程度の断熱材を施工する」とされていた。
ブースターファンというのは2枚目の図のような
ファン付き吹き出しガラリのことを指している。
鎌田先生からは、その使用感も良好だという発言がありました。
たぶん、北海道のビルダーでは使用実績が少ないでしょうから
「そうか」といった反応感がありました。
全体的な印象として、
暖房と冷房の必需期がほぼ半々というような気候常識を
前提とした機能選択という印象が強く、
北海道全域としてどうなのか、というのが率直な印象。
ただ、原理原則としては理解はできる、といったところでしょう。
このあたり、空調コントロールについては地域差があり、
全国一律的な対応ではなくなっていく感じがします。
住宅は考えれば考えるほど、その地域に根付くという印象が強まる。
設備設計、選択については地域分化が必然とも思われました。
Posted on 4月 18th, 2019 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング
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