今日のニッポンでペシミズムの源泉とも言えるのが人口減少。
人口が減少していけば、経済が不活性になるに決まっている論が支配的。
わたし自身も「これから日本はどうなるのだろう」と人口流失に悩む地方の現状などを
オーバーラップして無意識のうちに同意してきた。
しかし最近、高橋洋一さんが異議を唱えていると初めて知った。
氏は日本の元大蔵官僚、数量政策学者、経済学者。嘉悦大学教授。
政治的にはやや右派の方ですが、経済について一家言を持っているとされる。
人口減少がただちに経済をおかしくするというものでない、という説。
氏は安倍政権へもアドバイザリー的な立場と言われるけれど、
実際に、わずかずつとはいえ人口減少期に入っている日本は、
しかし、GDPは伸びてきてもいる。
人口減少というのは、あきらかに進行している事態なので「対応可能」な困難、
というスタンスであり、実際に安倍政権ではGDPを伸ばしているのが現実。
たしかに明瞭に見えている未来に対しては正確な対応をすることは可能でしょう。
ただし、それはこれまでと環境条件が変わらないということを意味しない。
国の経済規模それ自体は健全に発展させることは可能だとしても
その中身の需要は変わってこざるを得ないということなのでしょう。
住宅で言えば、このことはかなり想像力が試される事態。
住宅というのは基本的には人口態様でそのマーケット環境が変わるものとされた。
人口増加期には、たぶん大多数の作り手が「一生懸命やれば」成長できた時代。
住宅ビジネスをする企業・個人の周辺で人口増加条件があれば、
過去と同じような努力を重ねていれば報われる可能性が高かった。
圧倒的に都市に流入してきた家を持たざる者に「新築住宅」を提供すれば、
旺盛な需要があり続けてきたといえる。
ところが、GDPが伸びるのに人口は伸びないという現実がやってくる。
簡単に言えば、顧客は減少するけれど売上は伸びる可能性があるという市場環境。
その顧客も高度成長期のように自然発生的ではない可能性が高い。
いやむしろ、圧倒的な都市流入という流れ自体、資本主義の工場立地に
おおむね即応してきたものだったといえるでしょう。
変化はすでに大きく胎動を見せて始まってきているのでしょう。
大手メーカーでの積水ハウスから一条工務店への地殻変動。
これは大きな意味ではすでに「品質」が「宣伝」を上回ってきた、
価値の大きな変化が起こってきた証明であるのかも知れない。
しかしこの市場環境の変化は、そう単相的なものではないと思われます。
相変わらず環境変化に乏しい「リフォーム市場」などを見ても
構造変化は、相当大規模なものになる予感がしています。
Posted on 11月 12th, 2018 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング
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