写真は前真之東大准教授の沖縄住宅の講演での1シーン。
この沖縄現地調査でも基本は住宅内部の研究が多かったのですが、
中城・中村家住宅などでは中庭の敷石、縁側空間(雨端〜あまはじ)、室内の
温度のグラデーションを解析されていて、
その説明的な赤外線画像として、一般的街区、街の温熱実態を見せていた。
あらためてこのように見せられて、今日の都市環境の問題が浮き彫りだった。
世界的な気候変動のなかで、今年は北半球が記録的な猛暑とのこと。
先般の記録的豪雨被害といい、個別住宅での対応範囲を超える
いわば都市計画レベルでの気候変動対応という気付きを与えているように思われる。
豪雨被害では、とくに広島での「真砂土」と岩石による地盤被害の実態がみえた。
直径数メートルという巨石が先導してくる豪雨という未曾有の被災。
中国地方の「大蛇」伝説というのは、こういった土壌地盤のことが、
わかりやすい民話のカタチで遺されてきたものであるのかもと頭をよぎった。
各地の豪雨被害では、本来樹木で保水されてきた斜面傾斜地が、
人為的開発の結果、土砂崩れを誘発したという事例報告もあった。
このことは、国土利用についての人為が臨界点を超えてしまって、
自然のバランスを大きく壊してしまっている現状からのしっぺ返しなのかも。
そして追い打ちを掛けるような一気の酷暑、蒸暑の到来。
やはりこういう気候変動に、わたしたちの文明都市は十分に対応し切れていない。
赤外線画像を見れば、白がアスファルト路面を覆ってしまっている。
こういう路面からの「輻射」は相当のモノだと思います。
写真を見ただけでクラクラしてくるような状況が伝わってくる。
色温度の設定では、白は40度超の設定なので、ご覧のように、路盤面から
下から、猛烈な輻射熱が人間に襲いかかっている様子がわかる。
可視画像で確認すると、この写真全体に緑がまったくないこともわかる。
この写真は一般的な「住宅地」を撮影したものですが、
こういう住宅地に木が1本も見えないというのも、よく考えたら気候変動以上に
人間環境が大きく「変動」してしまっていることを表現している。
こういった居住環境を現代人はよいと思ってきたから、
こういった環境を一生懸命に作ってきたのだろうと思います。
「木なんて、いちいち管理の手間が掛かるから、
時間効率最優先の現代生活では、ムリ」とでも、可視光線画像は
主張しているかのようだと思います。
もちろん現代生活的利便性は、基本的にはクルマと車道という
移動の自由の拡大によってもたらされた基本的自由であることは自明。
しかし結果として、なにか非人間的な部分は大きい。
こういった「居住環境」をわたしたち世代は次世代に渡していくことになる。
どういう都市居住環境が持続可能であるのか、
その最適解は、もうちょっと考えていかなければならないのでは?
Posted on 7月 27th, 2018 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング
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