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【凍結深度以下で地熱利用だった竪穴住居】

マンガで住宅のことを表現したときに、
竪穴住居のことについて友人の設計者と研究してみた。
やはり「深く掘る」ということが決定的なんだと思われた。
現代の知見で「凍結深度」というものが建築にはある。
その地域での最寒気に表土がどれくらいまで「凍結」するかの深さ。
札幌では60cmで、道東などでは1mに達する地域まである。
その深さまでは「表土が凍結する可能性がある」わけで、
地面の凍結・爆裂による不陸を避けて、
基礎の安定性を確保するために、その深さまでは基礎を打設する。
逆に言うと、その深さ以下だと、今度は「地熱」が利用できる。
地熱は経験的になのか、学術的になのかよく知らないけれど、
その地域の年平均気温程度の温度が確保されているといわれる。
札幌ではちょっと前までは8度程度と言われたけれど、
いまは温暖化の影響からもうちょっと高いのではと思う。
その年平均気温に対してバイオマス燃料で暖房・調理することで
土壌蓄熱や空気に加温させて居住環境を作っていたのだと思う。
衣類との合わせ技で、適合温度環境を作っていたのでしょう。
縄文時代の人たちは凍結深度以下に床面を確保すれば
「住居があたたかくなる」という経験知を持っていたのでしょう。
そのように暮らした先人たちにさしてDNA障害痕跡も見られないのだから、
人間が生きていく住居としては環境的に適応していた。
で、竪穴住居では深く穴を掘って、それに木組みで構造をつくり、
茅葺きなどで屋根を造り、それに土をサンドイッチさせたりして
断熱をさらに強化したりしている。
水分コントロールがいちばんの問題だっただろうと思われ、
よく縄文の集落などでは竪穴を冬の住居にして、
一方で高床式の「通風重視」の「夏の家」も併設されたりしている。

このような竪穴住居を考えていて
やはりいちばんの関心は、どうやって「穴を掘るのか」という点。
人類というのは、口型ではなく手型の発展をした動物で、
その生物的進化の過程で「道具」利用という稀有な生存手段を開発した。
とりあえず、木の棒という基本的な道具があり、
その機能拡張で「穴を掘る」道具を開発してきたのか。
今日で言えば「スコップ」のような機能形状の道具を開発していたのか。
炭化物なのでなかなか現物としては残らないとされる。
北海道で言えば、アイヌの住居・チセは「平地住居」で竪穴ではない。
なので、そういう道具は現物ではあまり目にしたことがない。

最近、いろいろ人類史的な知見が発展してきて、
こういった起源に関するようなこともわかりやすくなってきている。
そういう探求からすると、人間が物理的な「住居」を建てたのは、
案外近い過去にしかすぎないというように考えるのが自然。
だいたい、1万数千年程度のことのようだと思うのです。
もうちょっとすると、住宅というのは非常に簡明に文化・機能分析が
できるようになる領域であるのかも知れないなと。
過去を知っていけば、未来への洞察も可能になるのかも知れませんね。

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