写真は先日の住宅見学会の様子。
ある若い設計者の住宅ですが、見るとリビングとキッチン食堂の間に段差がある。
リビング側が一段下がっているのです。
敷地には高低差があって、前面道路からは下がって存在する敷地。
そういう関係で、2階からの出入りになっていることはある。
でもだからといって、こういう段差があるのはどうして?
と思わざるを得ない。
まぁ、聞いてみると実にいろいろな要因があってこういう形態になっている。
しかし、決定的なのは、この段差は
階下からの暖房された空気の通り道に当たっていると言うこと。
パッシブ換気、という北海道の温熱環境研究者が開発したシステムの応用なのです。
床下土間をコンクリートで作り、そこに新鮮外気を導入し、
暖房機を設置して、空気に暖気を与える。
外気は暖かい暖房機に吸い寄せられるように入ってくるとも言える。
そして暖気は必然的に上昇するから、
その通り道を考えてやれば、まことに自然な暖房であり、換気になる。
建物最上部から、ちょうど煙突で排気するように空気を排出させる考え。
で、その通り道を考えるのに、
こういうスキップフロアを考え出したという次第。
このように装置すると、家の中のちょうどいいベンチになって、
手前居間からのいい眺めに対するビューポイントを形成している。
実際そのような生活が展開されていると言うこと。
きのうも若干触れたけれど、
こういう合理的で、しかも大胆なデザイン発想というのは理にかなっている。
デザインが、デザインのためのデザインにはなっていない。
建築というのはさまざまな構成要因を重ね合わせながら、
現実に建っていく。
こういう事例のように、合理性が独自なデザインを生み出す、というのは
ものすごく応援したくなるアプローチ。
いかにも表層的な「やりたいことをやる」、
みたいな、無軌道な突っ走り建築デザインを目にすることが多い中で、
このような丹念な仕事の良さを、目にすると
やはり救われたような思いを抱きます。
北のくらしデザインセンター
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Posted on 12月 19th, 2009 by replanmin
Filed under: 住宅性能・設備
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