新潟に、ドイツから来て和風民家をドイツ古民家デザインに変える
そういうリフォームで話題になっている例があると聞いていました。
カール・ベンクスさんという方だそうで、
でもまぁ、ツアーの趣旨とは違うので見学はできないと思っていたのですが
同行の方が熱心にプッシュしてくれたので、見学コースに入りました。
この建築デザイナーさんは、新潟市の賞も受けられている。
以下、HPからその紹介文を。
「第2回新潟市特別賞
カール・ベンクス 建築デザイナー
「古い民家を壊すことは文化を捨てることと同じ。」
ベルリン生まれのカール・ベンクスさんが、築180年の古民家を再生して
新潟県十日町市(旧東頸城郡松代町)に移り住んだのは1993年のこと。
打ち捨てられ朽ちて行く古民家の中に、カールさんは自然環境に
寄り添うような生活の知恵と、日本の職人たちの高度な技とを発見し、
「古い民家を壊すことは、宝石を捨てて砂利を拾っている」
と警鐘を鳴らしてきた。
古い民家をいつくしみ残していくことは、文化を伝えると同時に
世界に誇る職人の技術を伝えることでもある。
遥か9000kmのかなたの国、ドイツからやってきたカール・ベンクスさんの
マイスター魂が、忘れかけていた日本文化の再発見に導いてくれた。
自ら新潟に居を構え、たくさんのメッセージを発信し続ける生き方に
敬意を表し、今後の活動に期待を込めて新潟市特別賞を贈りたい。」
とされています。
その活動の趣旨は共感できるものがあると思っていた次第。
なんですが、訪問したときは事務所は定休日と言うことで
お話を伺うことはできませんでした。
上の1枚目の写真の建物は、松代市街の古い旅館をリフォームした建物。
カール・ベンクスさんの事務所はこちらの2階になるのだそうです。
ということで、直接お話しを聞くことが出来なかったのですが、
いろいろな情報では、デザイン的には確かに東西の文化を越えて
古民家としてのたたずまいに共通性があり、
ドイツ的な感受性も、日本古民家と近似性を持っていることは伝わってくる。
しかし建築的には、ただデザイン的に手を加えているだけで、
断熱などの現代的要件については、無頓着とされていました。
「え、・・・」というところ。
で、ビジネス的には、そのリフォームで生活利便性の低い
山間地の古民家を、わざわざ生活のための住宅として購入するかどうか、
そういった評価が、一般的になっているということだそうです。
住宅建築としてというよりも
どちらかといえば、店舗デザインとしての面で評価されているよう。
ご本人は、旧東ドイツ・ベルリンの出身で、
日本文化に深く傾倒された家庭に育って、こうしたデザインを追求している。
写真のように、柱と梁の接合部の飾りなど、
一般的には宗教施設・寺院の外部で使われる部材を
インテリア空間に持ってくる手法やよく見ると照明のシェードが
お米を炊くお釜だったり(笑)など、キッチュで、
「なんかちがう」けれど、それなりに「似合っている」という印象。
でもこういう風に改装するのであれば、
せっかくだから、ぜひ断熱改修も同時に行えばいいと思うのですが、
そのような志向が無いというのは、まことに残念です。
ちょうど、この空間で現代的な女性書家による展覧会も開かれていましたが、
まことにぴったりとハマっていました。
Posted on 9月 4th, 2015 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅取材&ウラ話
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