先週の「北海道ビルダーズ協会」発足パーティに引き続いて
現在仙台在住の鎌田紀彦先生が、ふたたび札幌に来られました。
新住協メンバーの建設した「Q1.0住宅」の見学会、発表会であります。
午前中、朝9:30から、発表会が終わったのが16:30という長丁場。
会員が取り組んでいる実際の住宅の現場で、
その場でチェックポイントを発見し、すぐに活発な論議が始まる。
会員からの質問、疑問提起、先生からのツッコミなど、
常にライブにテーマが展開していくので、
見逃せないし、まことに興味津々だらけで進行していきます。
北海道の作り手のみなさんは、遠慮なく勇猛果敢(笑)に
先生に質問、疑問をぶつけていくので、すぐに白熱していくのですね。
もちろんリスペクトが基本マナーであることは言うまでもありませんが。
先生の現場主義的な発想は、こういった意見交換、議論が
その土台になっているのだと思います。
きのうのそんな模様を、何回かに渡ってお伝えしたいと思います。
本日は、1軒目の現場で話題になった「厚い外皮」の件であります。
1軒目は、大鎮キムラ建設さんの「札幌版次世代」のトップランナーの家。
ドイツパッシブハウスに刺激を受けた前札幌市長の上田氏が
数値基準を決めて記者会見をするなど、独走したもの。
なんですが、あまりにも根回しのない動きだったので
それまで高断熱高気密住宅に取り組んできた工務店は、
どっちかというと、遠巻きにしてみているうちにあれよあれよと
進んで行ってしまったというモノであります。
ただ、全国的には政令指定都市の市長が記者会見まで開いて
発表したということから、建材メーカーなどが大急ぎで
その基準に適合する建材の開発を決定したという側面もありました。
大鎮キムラさんは、新住協メンバーのなかでもこの動きに
敏感に反応されて、札幌市が開発している住宅地の一角に
モデルハウスもオープンさせています。
トップランナー基準はQ値でいうと0.5レベルになるので、
ご覧のような断熱の厚みになっています。
4寸角の軸間にGW120mmを充填し、その外側に付加断熱が240mm。
で、詳細に検証したら断熱厚みがさらに必要となって、
内壁側に発泡プラスチック断熱材を30mm追加したという構成。
というところで、さっそく現場での意見交換会。
ある会員から発泡プラスチック断熱材の位置について
付加断熱の一番内側に、壁全体のGWの真ん中近くに入れた方がいいのでは、
という意見が飛び出しました。
ネタばらしで言うと、この現状の位置は、基準を満たすには
もうちょっと断熱が足りないかも、ということが見えた段階でプラスした
という経緯も明かされた次第なのですが、しかし、
GWのなかに発泡プラスチック断熱材をサンドイッチする断熱構成というのは
「そう言われてみれば工法的に、なかなか合理的」
という議論展開になっていきました。
さらにふと、「この壁、申請上での壁芯はどこになっているの?」という声。
建築面積を割り出す基準線がどこになるのかというのは、
これだけの壁厚みになってくると、かなり重要な要素になってくる。
「えっと、付加断熱の中心線としています」との答え。
というところで、さらに議論が白熱。
どうやら、確認申請を審査担当された「建築主事」判断だったようですが、
本来、国交省の基準判断とは違いがある、訂正を申し入れた方が、
という先生からのアドバイスもありました。
やっぱり現場に来て、そこで気付く多くの要素が
住宅建築にはものすごくたくさんある。
そこで作り続けている工務店・ビルダーと、研究者の距離、
こういった部分が鎌田紀彦先生の真髄なのだと、
あらためて強く思わされた次第であります。 以下は、あした以降に。
Posted on 6月 24th, 2015 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅性能・設備
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