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温暖地・高断熱住宅への「ねたみ」

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きのうから石川県小松市に来ています。
北陸地域は昨年5月に引き続いての再訪ですが、
今回は、Replan誌での掲載記事についての取材活動であります。
北海道東北がメインの取材範囲ではありますが、
設備関係の機器については、場合によってはどこにでも行く。
きのうは小松市の高断熱住宅ビルダーさんの取材。
北海道東北にいると、家の暖かさ、ということに対して
ふつうに体感的に反応するユーザー・マーケットが存在しますが
この地に来ると、やはり相当に違和感を感じます。
家は寒いのが当たり前で、
外気温の変化に連動して家の中の気温は低下するのが当然で
朝方3時、4時には耐えられないほどの寒さが襲ってくるのだそうです。
たぶん、断熱も気密もまったく理解していないのが一般的。
その上、性能をしっかり作った家に対して、
「過剰だ」みたいに反応するケースが
むしろ圧倒的に多く、にわかには信じられないエピソードを聞く。
わたしどもの常識が非常識のように感じてしまいます。
こうした高断熱住宅に対して、一般に
自分の建てた家とのあまりの違いに驚いて、くやしいとまで思い、
むしろ「ねたみ」にも似たねじ曲がった葛藤的心理も多いそうです。
また、高断熱住宅を建てたユーザー自体、
こんな反応に接するせいか、
そのことを積極的に周囲にアナウンスすることを回避して
むしろ、わが家だけでこの快適感を持っていたい、
秘密の優越感に浸っていたい、みたいな心理を持つケースまであるのだとか。
地域で発行されている住宅雑誌を見ても
断熱の「だ」の字も見えてこない・・・。
ただただ、すごい現実があるようです。

こんなことを見聞きすると、
寒冷地との彼我の違いに、愕然とさせられます。
北海道は、開拓のはじめから、寒冷気候に立ち向かう
いわば人権的な部分で寒さを、みんなで克服してきた歴史なのですが、
そういった部分、獲得した普遍性を
今度は、本州地域・温暖地域の過酷な冬期の室内環境改善のために
フィードバックしていかなければならないのだと思わされます。
エネルギーコストの上昇から、暖房を削減して
21世紀の現代で、ひたすら冬の寒さを「堪え忍んで」家にいる、
という理不尽さに、まことに絶句する次第であります。
せっかくの機会ですので、この他にも
いろいろと取材活動をして行きたいと思います。

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