上野の西洋美術館の庭に置かれている「考える人」彫刻は
フランス公認の「オリジナル」作品と言うことで有名ですが、
とくに入場料などは必要ではなく、
だれでも気軽に近づいて楽しむことが出来ます。
だんだん加齢してきて、上野の美術館や博物館などをめぐると
ちょっとひと休みしたくなるとき、
ここで休息するのが、楽しみであります。
ちょうど写真をこのように撮影できる場所に、ちょっと腰掛け可能な
庭石があって、腰掛けると実によく「座りが良い」(笑)。
考える人と同じポーズをしたり、
テイクアウトのコーヒーを楽しむのに、ちょうどいい。
この考える人彫刻オリジナル、というのはフランスに「鋳型」があって、
それを使って作られた作品が世界に21あるのだそうです。
そう考えると確かに「本物」であるのですね。
背景になっていて、シャープな日影を落としている建物は
国立西洋美術館であり、これも建築家・コルビジェの作品。
いま、世界遺産登録を目指している建築です。
そういったまことに豪華なとりあわせが、
まったくの無料で楽しめるというのは、不思議な感じがしますね。
現世人類というのは、約40000年の歴史を紡いできていますが、
現代は、さまざまな政治体制の変遷を経て
いわゆる市民社会と民主主義が実現してきている。
こんなふうに、ごくふつうの市民が個人的な楽しみを享受することが
許されるような社会が実現できている。
ちょっと前まで、このような来歴の芸術作品を
こんなふうに楽しむと言うことなど、権力構造が許さなかった。
いわゆる権威主義的な押しつけや規制というものが
徐々に力を失ってきている時代に生きていられるのは、幸せなのでしょう。
いまは皇居も、東御苑が一般に開放されてもいる。
一彫刻ですが、考える人といえば、
誰もが知っている人類的な名作品。でも、こんなふうに
ごく普通に接することが出来るようになると
それほど話題にもなることが少ない。
そういう意味で「稀有な時代」をわたしたちは生きていると
認識していく必要があるのだと思います。
Posted on 11月 19th, 2014 by 三木 奎吾
Filed under: 日本社会・文化研究
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