きのうは住宅金融支援機構の本社屋内のホールで開催された
第1回住まいのリフォームコンクール発表会の取材。
主催は(公)住宅リフォーム・紛争処理支援センターが主催するもの。
わたしも立ち上げ時期に関与した「北海道R住宅」が、
新設された「ビジネスモデル武門」で「企画賞」として表彰されることになって
その内容を紹介する誌面の取材であります。
わたしも住宅リフォームということには
雑誌創刊時から関わってきている人間ですが、
はじめてこういったニッポンの中枢での議論の流れを聞く機会でした。
なんですが、そういう意味ではきわめて残念感のあるものでした。
とくにこれまでの流れの「作品部門」というのが了解不明。
そもそもリフォームコンクールという趣旨自体が明確ではない。
さまざまに取り組まれるリフォームの工事案件は
それぞれに趣旨と目的があって行われているものであって
その意味では、ある「解」に至っていることは当たり前。
もしそれらに優劣を付けるのであれば、
その「評価基準」は明示されなければおかしいと思うのですが、
一向に、そのような趣旨説明は行われない。
おぼろげには、いまの国の「住宅施策」の方向性のようなものが
断片的には窺えるけれど、
たとえば耐震性向上とか、省エネ性向上とか、地場産材活用とか
そういったフレーズが垣間見える、という程度。
結果として、プレゼンテーションの技法や情緒性レベルのことが
審査対象になってしまっている。
まぁムリからぬところではあるけれど、
なんとも、脱力感を感じさせられるところであります。
そういう旧態依然としたなかで、
新設された「ビジネスモデル部門」という試みは意義は高いと思えました。
北海道R住宅をはじめとして、受賞された3者によるパネルディスカッションは
ようやくにして、リフォームの本質論が垣間見えた。
そこでは社会の中で住宅リフォームが意味があるというアイデンティティに
それぞれに取り組んできた様子が表現されていました。
とくに東京の下町地区で2000件に及ぶ住宅について
年2回は住民のみなさんと住まいについて個別相談対応しながら
その価値の維持向上に日々努められている
丸山工務店さんの事例はすばらしいと思いました。
その発表の中で、その住民の建物を地域に住む工務店として
「住医」のように往診診察する姿勢を
継続してきている様子が発表されていました。
まさにあるべき姿であり、その通りだと思った次第。
本当に国がリフォーム産業を活性化させたいと思ったら、
本来なすべきことは、既存住宅についての明確な「カルテ」つくりであるべきです。
わたしたち北海道R住宅では、これまでの地域の官民学の総力を挙げた
「暖かく快適な住環境」という共通認識が、
そうした「カルテ」設計の基本にしっかりと据えられていた。
だから、建築工事にあたる人間ではない第3者、という厳密性まで担保して
「カルテ」をみんなで作って行ったのです。
そのことに蓋然性・妥当性があったからこそ、
さまざまな波紋を生み出し、社会的なアイデンティティを構築できていった。
このような「カルテ」に基づいて、
個別の建築事業者は、その住宅の再生延命に必要な作戦を立て、
具体的な、ユーザーにもすぐに理解出来る費用対効果も明示して
事業エリアの活性化を志向していくべきなのです。
そういう方向性でこそはじめて、ベンチャー的な存在も現れ出てくる。
そのような取材実感を持った次第であります。
Posted on 10月 31st, 2014 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅性能・設備
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