個人的に、ですが、
わたし、天井をデザインしている住宅空間が好きであります。
写真は旭川地区での住宅の事例ですが、
吸音性の高そうな素材と、それを留めつけている板材とのコントラストが楽しい。
現代住宅では基本的にはボードが張られてクロスで仕上げて
ほぼ単色の、やや明るめの色調でまとめるのが一般的ですが、
同じように仕上げる壁には、家具が装置されたり
いろいろな飾り付けが施されるのが普通なのに対して
天井には、まるで空疎な「そら」のような機能が付与されているだけに思われる。
まぁ、通常生活では天井はそのように背景的・抑制的であったほうが
理にかなっているとは思うのですが、
子どもなど、人間の創造性のゆりかごというように住宅の役割を考えると
各室、空間によっては、違いがあっても面白いのではないかと
「個人的に」思っているのです。
わが家は若い設計者といっしょになって楽しく創った家なんですが、
天井に、いろいろな提案をいただいて、すごくうれしかった。
RCスラブ面で構成されている階の天井には
わざわざ「格子天井」を造作いたしました。
鉄筋で支持させて、けっこうな重量の「格子木組み」を据え付けている。
見る者の視線の角度が微妙に変化していく流れに沿って
いろいろな光がこの格子木組みを浮き立たせたり、平面化したり
さまざまな見え懸かりをもたらしてくれる。
ふとした瞬間に、こちら側に対話を仕掛けてくるように思われる。
また、まだ3階の床を張っていなかったときには、
3階の天井は屋根のトラス組みがそのまま素地表しにしていた。
その天井を見ながら親子で川の字になって寝ていたけれど
素地の2×12の白木の表情がまことに正直で美しく
そこに外部からの日光や光がグラデーションを与えて、
それを見ているだけでも、家を持つという楽しさを実感させられていた。
こうした意匠には空間の表情として、意識下の世界に刷り込まれてくるものを感じる。
インスピレーションの世界のことではあるのですが
そのような仕掛けは、人間環境には微笑ましく感じられる。
この写真の天井仕上げには、そうした遊び心が感じられるのであります。
考えてみれば、人類の伝統的な家屋は萱の素地が表れているのが一般的。
そうした植物性繊維の表情を、DNA的にわたしたちは記憶している。
人間の「癒やし」には、こんなことも大きなファクターなのかも。
Posted on 9月 18th, 2014 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅取材&ウラ話
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