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部屋と、ひとの生きざま

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「あまちゃん」をNHKオンデマンドの会員になって
再度、見直しております(笑)。
やっぱり、このドラマ、たいへん重層的で、てんこ盛りにテーマがあって、
見返してみると、いろいろなテーマが再発見できて面白い。
きのう、野田秀樹さんが作・構成・演出された
勘九郎の新作歌舞伎の映画を見てきましたが、
ぎっしりと役者の体技も含めてネタてんこ盛りというのは
最近のシナリオライターさんたちの特徴なのでしょうか。
クドカンさんのこの作品まで、あんまり注目もしていなかったので
テレビや映画、舞台なんて、ほとんど触れる機会がなかったものが、
この番組をきっかけにして、一気に入ってきております。
まぁ、相当に時代とズレがあるなぁ・・・(笑)。

で、「あまちゃん」の重要な舞台装置として
キョンキョンの演じた母親・春子の「部屋」というものがあります。
アイドル、というサブカルチャーともいえないものが、
その時代の青春にとってどんなものであったのか、
そんな「空気感」を一気に伝播する異空間装置になっていた。
最初は、祖母の夏ばっぱが、最愛の娘・春子の青春をそのままに
永久保存していたその部屋に、
これまた宝石のように大切な孫娘が、忍び込む。
そのことをめぐって、3代の女たちの葛藤が繰り広げられていくのだけれど、
物語は、そこに一度も夏ばっぱを登場はさせなかった。
しかし、家出していった娘の青春そのもの、
それも自分の価値観とはまったく異質なものに惹かれていった反抗的な娘の
その青春のかたちを、そのままにしておきたかった、
いつか、この部屋に帰ってきたときの娘のこころをおもんばかっていたに違いない
そういった「背景としての」構図も見えてきて、
語っていないドラマの部分がいかに大きいのか、と思い至る。
わたし自身も、似たような邂逅を経験していて
自分の中学・高校時代のあれこれの断片的なものを、母が死んだ当時に
家のなかを整理しながら、発見したことがある。
それはタイムカプセルのように、違う時間を見させてくれた。
そしてそれを大切に保持し続けてきたひとの、母親の思いも同時に伝わってくる。

住宅という分野の仕事に携わっているワケだけれど、
結局、こういった「ひとの痕跡」というものの持つ、人間くささ、
そのなにがしかを、求めているのかも知れない。
ひとは、一期一会を生きている。
部屋の雰囲気、というものを、ふと思い起こさせてくれて、
立ち止まって思索が展開してしまったのです。
思わず想像力が刺激されて、
カミさんの独身時代の部屋と、娘がいま、ひとり暮らしをしている部屋と、
そのとき感じた感覚が、ふっと、ひとつながりの感覚で意識されて
ちょっと不思議な感覚を持った次第です。

<写真は、恥ずかしながら、わたしの書斎机の写真であります(笑)>

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