本文へジャンプ

弛緩した権力、ひよわな退陣劇

7006.jpg
長く政治的な動きを見続けてきていますが、
今回の退陣劇は、なんとも、気迫のなさに唖然とした次第です。
安倍さんって、確か、若いはずだったので、
気力体力とも、自分自身、自信があってこの地位に立候補したのでしょう。
そういう人物が、誰の目にも難しい局面であることを承知の上で、
それでも「まだ、やりたいことがある」と言って、
参議院選挙後も内閣改造を行って、所信表明をしたうえで、
突然、職を放棄してしまうとは、
そこまで、自民党っていうのは気迫がなくなっているのか、と思わざるを得ません。
ここで投げ出すのなら、実に国費を無駄に費やしたことになる。
それなら、なぜ、参院選の後に辞職しなかったのか、
あまりにも政治的な思慮のなさに愕然とします。
唖然とさせられた動きを見せられて、
また、シャッポを変えてきて自民党は権力を延命させるつもりなのでしょうが、
どうにも、国民の目からすれば、体を成していない。
衆議院で3分の2という数を持っているということのみに執着して、
いやむしろ、そのことの毒が自民党を崩壊させようとしているのかも知れませんね。
安倍という政権は、この衆議院3分の2以上の巨大与党という
異常事態が生む、権力の弛緩状態から発生した政権。
衆議院3分の2以上というのは、首班として小泉純一郎が得たものであって、
国民の側からすれば、自民党総裁任期の決まりなどは関係がない。
そのときの民意を問うた首班としては、小泉純一郎という政治家だったのです。
安倍さんという人は、国民からそういう直接的付託は受けた経験がない。
初めて問うた民意が、前回、参院選だったのです。
国政選挙における民意という厳しい審判を受けなければ、
本来、最高権力には正統性が発生しない。
そうでない政権は、所詮は「たらいまわし政権」に過ぎない。
そしてこういう退陣劇を見せられては、自民党として、
体勢を立て直す、ということは当面不可能なのではないかと思われます。
自民党が体勢を立て直す、というのは
たぶん、もはや、解散総選挙で民意を問う以外にはないだろうと思います。
政治的な本能感覚が備わった政治家であれば、判断としては
「局面の打開」とは、衆議院選挙で勝つ、という以外にはないでしょう。
しかし、大平正芳さんは持病を抱えながら総選挙さなかに壮絶に死んで、
「弔い合戦」と称して、直後の選挙で自民党は大勝利した。
ああいうのがいいとは言わないまでも、
まぁ、政治家としての気力・気迫は伝わってきていた。
そういう出処進退と比較して、あまりにも虚脱した退陣劇だと思います。

コメントを投稿

「※誹謗中傷や、悪意のある書き込み、営利目的などのコメントを防ぐために、投稿された全てのコメントは一時的に保留されますのでご了承ください。」

You must be logged in to post a comment.