たいへん趣味世界の豊かな、というか
自分自身の暮らし方へのきわめて明確な建て主さんを訪問しました。
住宅の良さというのは、結局は住む人の力だと思います。
家を建てるのには、サポートする人が必要ですが、結局決め手は建て主さん。
現代以前には、一部の金持ち層が数寄屋なり趣味っぽい家を建てることが出来た。
ほんとうの意味での「注文住宅」というのはそういう世界に限定されていた。
大多数の一般庶民は、住み暮らすための入れものとして
規格的な住宅を、寸法精度が要求される部分くらいだけプロに依頼し、
それ以外の人手がかかる部分は自分たち素人だけで施工した。
街で暮らす場合には、大部分が土地持ちが経営する賃貸規格住宅「長屋」に住んでいた。
つい、半世紀ちょっと前くらいまでは、そういう現実だった。
ですから、本格的注文住宅という文化が根付いてきたのは
歴史的にも、きわめて新しいことなのではないかと思われます。
どうも、横道にそれてしまった。
ようするに、建て主さんの明確な暮らし方への想像力の問題。
この宮城県大崎市古川の住宅では、まさに、豊かな想像力がありました。
写真は総工費20万円ほどで実現している水槽世界。
この水槽のなかに、さまざまな生物や自然形成条件を考えながら
サスティナビリティを考え、発展させていくというような楽しみをされていました。
なかには熱帯魚ばかりではなく、エビなども飼育されているのです。
食物連鎖の相性なども研究しながら、
共存可能な生物たちを組み合わせ、生育密度なども考えてコントロールするんですね。
まさに、このミクロコスモス世界では、神のごとく思考できる。
愛情を持って、生き物たちの行く末を案じながら、手も考えていける。
で、この水槽、なんと、トイレの一方の壁面、
ちょうど、座った目線の壁に置いてあるんです。
なんとも大きさといい、ぴったりでして、神のごとき瞑想的空間にふさわしい。
こういうプランニング、建て主さんのアイディアなんだそうです。
こういう暮らし方への明確な考え方を伺うっていうのは、
冒頭に横道に行ってしまったような部分で、たくさんありそうだけれど、
実はあんまりないっていうのが、現実だと思う次第なのです。
ものすごく自由な建て方を出来る時代になっているけれど、
必ずしも、そういう暮らし方への想像力って、
そう、大きくなってきているのかどうかは、楽観できないのです。
なので、やはりこういう自由な発想を持つ事例の紹介というのが、
きわめて重要な要素になっていくのかなぁ、と思えるのです。
さて、どうなんでしょうかねぇ?
Posted on 9月 2nd, 2007 by replanmin
Filed under: 住宅取材&ウラ話
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