先週、省エネ基準改正に関する、国交省・経産省合同による
「第1回、省エネルギー判断基準等小委員会 合同会議」(8月21日)
が開かれて、その内容が開示されています。
経産省と国交省が今回省エネ基準を見直すのは、
2020年に予定している全ての新築建物の省エネ義務化に向けた前提条件の構築。
義務化する省エネ性能のレベルを設定するもの。
いわば、今後の省エネの憲法を作るようなものです。
ちなみに公開を原則としているので発表されている委員名簿は以下の通り。
社会資本整備審議会 建築分科会 建築環境部会
省エネルギー判断基準等小委員会 委員名簿<国交省側>
委 員 長 坂本雄三 独立行政法人 建築研究所 理事長
秋元孝之 芝浦工業大学 工学部建築工学科 教授
伊香賀俊治 慶應義塾大学 理工学部システムデザイン工学科教授
伊久哲夫 社団法人 住宅生産団体連合会 住宅性能向上委員会委員長
碓氷辰男 一般社団法人 不動産協会 環境委員会委員長
澤田雅紀 全国建設労働組合総連合 住宅対策部長
澤地孝男 独立行政法人 建築研究所 環境グループ長
鈴木大隆 地方独立行政法人 北海道立総合研究機構環境科学部長
清家 剛 東京大学大学院 新領域創成科学研究科准教授
高井啓明 社団法人 日本建設業連合会 サステナブル建築専門部会主査
野原文男 株式会社日建設計 執行役員 設備設計部門代表
前 真之 東京大学大学院 工学系研究科 准教授
総合資源エネルギー調査会省エネルギー基準部会
住宅・建築物判断基準小委員会 委員名簿<経産省側>
委 員 長 川瀬貴晴 千葉大学大学院 工学研究科 教授
秋田 徹 一般社団法人 日本電機工業会常務理事
井上 隆 東京理科大学 理工学部建築学科 教授
岸野 寛 一般社団法人 日本ガス協会 業務部長
岸本哲郎 一般社団法人 日本冷凍空調工業会 専務理事
栗山知広 株式会社 日建設計総合研究所 取締役
鯉淵 正 電気事業連合会 省エネルギーシステム検討委員会委員長
田辺新一 早稲田大学 理工学術院創造理工学部 教授
富田育男 一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会 専務理事
村越千春 株式会社 住環境計画研究所 副所長
山口知明 石油連盟 石油システム推進委員長
国土交通省側の専門委員はおおむね知っている方が多いのですが、
やはり縦割りニッポン、経産省側の専門委員はあまり存じ上げません。
国の「省エネ基準」についての意志決定ですから、
その進め方については公正を期さねばならないし、
いろいろなバランスを取って勘案していく必要があるのでしょう。
会議の議長が国交省側の坂本雄三さんだったということは
主務的な組織としては国交省が音頭取りであることも見えてきます。
このあと、環境省系の審議会組織の意見も反映されていく予定だということ。
また、情報公開の原則から会議の内容自体も公開されています。
まさに薄氷を踏むような運営を行っていっているだろうと思います。
この会議自体はあと2回予定されていて、
その論議に踏まえて、年内中に会議としての結論が出される予定ということです。
Q値から外皮平均熱貫流率(U値)へ
そういうなかで、この会議の討議資料として
どのような脈絡からなのか、
かなりサプライズ気味に、断熱性能の評価軸の更新が発表されました。
これまで根付いてきた
建物全体からの熱損失をその床面積で割り返した係数(Q値)から、
外皮平均熱貫流率(U値)への、基準となる指標自体の変更がアナウンスされました。
にわかにはその良否は判断しにくい変化球だな、というのが実感。
その論議自体は前から存在していたと思うのですが、
この時点で大きく打ち出される意味合いはなんなのだろうと
さまざまな論議を呼ぶことは必至なのではないかと思われます。
事実、委員の方たちからは異論もかなり出ていたようです。
ただ、省庁側からのあいさつでは、日経さんの取材表現ですら
〜「痛みを伴わない」住宅省エネ化となるか〜
とされているようで、やはりこれまでの国としての考え方が踏襲されてきている。
国交省の橋本公博・住宅生産課長は開会直後のあいさつで、
「今後の省エネ義務化で、中小の住宅生産者に痛みが生じるようなことをしてはいけない。
(住宅市場に悪影響を与えて)経済の足を引っ張ってはいけない。
むしろ新たなビジネスチャンスが生まれるようにしたい」
と語ったとされています。
まぁ枠組みの論議なので、活発に異論も出されていたという委員のみなさんの意見も
今後、反映されていくのだろうと思いますし、
まずはその行方を注視していきたいと思います。
Posted on 8月 29th, 2012 by replanmin
Filed under: 住宅性能・設備