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玄関先の工夫

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写真は盛岡市内の旧市街のなかの住宅。
前面の道路幅が厳しくて、家の前にようやく駐車スペースを確保している家。
見てみると、周囲との地盤面の高低差がある。
土間コンクリートレベルの関係で、生じてきた感じ。
そういうことの結果、おもしろい足下の工夫、素材使いになっています。
玄関の前、短いアプローチ部分は、コンクリートでほんの少し
他の地盤よりも高くなっていて、そのうえ、木で覆われています。
盛岡は雪も多いし。凍結もする。
コンクリート土間では、とくに冬場の朝は厳しいものがある。
それを緩和させるのに、木を張っているようなのですね。
これがなかなか、いい表情を建物に与えています。
以前、たいへん高名なデザイナー建築家が札幌に建てた住宅の玄関前が
一面、コンクリートの土間平面が大きく取られているケースがありました。
夏場には、かっこよくていいのでしょうが、
凍結する冬場は、アイススケート場状態になっていて、
毎日買い物から帰ってきて、荷物を抱えながら、
転倒しないように、ものすごく注意しながら住んでいました。
あぶないんですよね、ああいうの。その点、こういう工夫は面白い。
というような印象を、抱いていたら、
さらにそのうえ、ドアを開くと玄関土間平面が2段になっている。
まぁ、こちらのほうは、土間コンクリートのレベルの調整の結果、
ということのようでしたが、結果としては面白い。
日本人の家は、他の国の家と、玄関が一番違う。
靴を脱ぐ習慣が、一番面白いですよね。
あれって、ようするに雨の多い、泥のつく足下環境が多い、
という気候風土条件の結果なのだと思うのです。
そして、そういうものを解決したのが、玄関で靴を脱ぐ、
そのための段差をわざわざ、作ってきて、場合によっては、腰掛けてわらじを脱ぐ、
そういう動作空間を仕掛けてきたのだと思います。
玄関のこうした作られようが、日本人の清潔感覚を養ってきた大きな部分なのではないか。
そういった感覚で、この玄関土間の2段構成を考えると、
こういうのも、悪くはないのではないかな、と。
雪国の場合は、外の足下環境が刻々と変化するので、
こういうふうに、家の中との結界を何段階か、仕掛けておくのは
心理的な仕組みとして面白い生活装置のような気がしました。
外の木の床のところで、十分に雪を払い落としてから、
この一段低い土間部分で、靴の水分を一度落としてから、
本来の玄関土間にいたる、という生活上のシーン展開が想像できるのですね。
まぁ、でもあきらかにコストアップ要因だと思われるので、一般的ではないでしょうけども。(笑)
有用性は結構あるように思った玄関の工夫でした。

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