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学生の匠〜2  内部地盤掘り込み

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さて、築40年超という木造住宅。
ちょっと考えただけでも、いろいろなポイントが出てくるのですが、
まずは、構造的にどこまで強度を維持していられるのか、
その見極めと対応方法を、予算を付き合わせて見てみる必要があります。
限られた予算のなかで、それをどのように使うのかは、
施主さんに意志決定してもらわなければいけない部分。
場合によっては、こうした構造的な補強工事に予算がかかりすぎて、
やむなく目に見える快適性向上の部分、
ステキな内装だとか、使いやすい設備機器などといったものを
諦めてもらわなければならない、というケースもあると思います。
という考えは、もちろんまじめな業者さん側の発想であって、
逆に、いや、そういう構造的な部分はいいんだ、目に見える快適性重視で行く、
というような決定を下されたとしても、それには従わねばなりませんね。
たいへん難しい部分だと思います。
実はリフォーム工事というのは、こういう判断の連続だ、ともいえるのです。
ある目標を定めて、予算の配分をよく検討し、
解体工事に着手すれば、現実に柔軟に対応していく必要がある、
そういうものなんですね。
この家では、基礎に鉄筋が入っていない、いわゆる「無筋基礎」でした。
これでは、耐震性能という意味で、危険な家。
そこで、既存の布基礎の内側に150mmの新たな配筋の基礎を重ねて作ることに。
結果としては、既存120cm+150cmという分厚い布基礎になります。
この家のある地域は、杭打ちなどの補強は、
そう、必要とされるものではない条件のいい地盤ではあったのですが、
さらに、どうせやるなら、ということで、より強度が飛躍的に高まる
「土間基礎」で全面的に打ち込む方針にしました。
このあたり、大変コストはかかるけれど、この家の基本的性能をアップさせる、
という目標を実現すべく、しっかりやっています。
で、土間基礎にするためには、既存地盤を掘り下げる必要があります。
写真は、そのプロセスなんですが、
既存の内部を、骨組みと、当面維持できるギリギリの構造材だけに還元し、
地盤面を露出させ、この状態で、土工事をやっているところ。
右側写真のように、重機を内部に入れて、露出した地盤面を掘り込んでいったのです。
この重機を中に入れるのも、ひと苦労。
一番大きな開口部に鉄製の橋を架けて、出入りさせました。
既存の地盤面から、およそ、40cm土を掘って、排出したのだそうです。
その量、なんと大型トラック10台分以上だったとか。
とはいっても、この重機は最も小さいタイプのもの。
相当根気よく、作業にあたったのだろうなぁ、と、苦労が偲ばれますね。
出来てしまえば目に触れることはない、
でも、家の性能には決定的な、いわば、文字通り「縁の下の力持ち」的な
建築工事の部分なんです。で、こうしたものにしっかり予算を振り向けなければ、
結局そのツケは、最終的に家の所有者に来るのです。
ぜひ、多くのみなさんに、理解していただきたいものです。

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