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雪国的な色彩感覚

写真は、杜の湖畔公園の「津軽の家」で見たスライドより。
津軽の暮らしを、子どもの視点で紹介していました。
北海道も雪国ですが、
まだ「民俗」と呼べるような生活文化の伝統性は
生み出せていないと思います。
というか、江戸期のような地方文化の純粋培養期が
北海道は、歴史的に経験していないので、
ほかに行きようのない「土着性」に人々の意識が向かっていない。
むしろ、明治の開拓期からずっと、
いわゆる生活文化の定常性がなく、常に進歩発展が行われてきたので、
むしろそういう変化に、柔軟になっていった。
「こだわりのなさ」っていう生活文化を生み出してきているかも知れない。
住宅のことで言えば、
津軽は最北で日本文化を受容したけれど、
北海道では、結果的に日本ではない方向に向かったのかも知れない。
そう考えると、高断熱高気密住宅は北海道が生み出した
最大の「文化」であるのかも知れませんね。

で、津軽の文化であります。
ご覧のような色彩感覚に、ネイティブを感じる次第なのですが、
ねぷた的とも言えるし、棟方志功的とも感じる。
五所川原や弘前などのねぷたの極彩色感覚があって、
線の大胆さは、やはりその底に三内や縄文的な力強さを感じる。
そうでありながら、この絵では、
きっと外は雪であって、
家の中で3代とおぼしき女性たちのやさしさの情景が展開する。
そういう「雪国」の一瞬の光芒がまばゆい。
津軽の色彩感覚には、
やはり雪国であるというその底があるように思います。
雪に閉ざされるからこそ、
色彩への圧倒的な渇望があって、
そういう内面世界を反映するように色が重ねられていく。
以前、スウェーデンに行ったときにも、
彼の地のガラス製品の色遣いに、北国とは思えない
むしろ地中海的な色彩感覚を見て、驚いた経験がありますが、
どうもそういう感覚と相通じるモノがある。
こういう感覚は、正直に言って
北海道人として、無条件に降伏する部分があります。
大好きです、津軽、っていう思いですね。
わたしたちにはまだ、そこまでの思いの蓄積がないのだけれど、
心理の奥底に、やがてこうなると思える情景が見えてくる。

わたし以外の北海道のひとは、さてどう思うのでしょうか?

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