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いのちを守る家

ここのところ、ようやく東北のひとたちとの連絡が平常的になってきました。
そこで浮かび上がってきたのは、地震に際して
安全と安心をひとびとに与えた住宅の存在。
写真のグラフは、大震災後、無暖房で2週間以上過ごしたという
仙台市の住宅の室内気温と、外気温のデータです。

この建物はリフォームで断熱を強化して、
Q値で1,47という、次世代基準で北海道レベル1.6も超えた家。
地震の発生直後に停電して、
ライフラインも止まってしまったのですが、
断熱リフォームしたときに、当然耐震性の向上も計っていて
そういう意味では、家具や食器類の散乱といった被害以外はなかった。
暖房も石油によるセントラルヒーティング。
とはいっても、電気がなければ運転は出来ない。
その後、2日目には電気が復旧したけれど、
その途端にテレビの映像で飛び込んできた大津波被害の実態を見て
「自分たち家族だけが暖房して暖かく過ごしている気にならなくなった」
ということで、無暖房での生活を選択したと言うこと。
こういう心理というのは、そうなるものなのだなと実感。
最初の1週間では、最低気温が零下に下がった厳寒になった
18日19日頃に、室温が朝の一番冷え込んだ時間で12度にまで下がったけれど、
その後、日が昇って日射が取得できるようになると
室温は18度くらいまでは上昇していたと言うこと。
この温度は、日本の省エネ基準の室温標準ということですから、
日射を勘案して考えれば、この家は事実上、無暖房住宅といえる。
ことしの3月は例年以上に寒さが厳しく、
とくに東北太平洋側ではほぼ真冬の気候が続いていました。
そういうなかで、やや厚手の着物を着込んでいれば
まったく暖房なしで過ごすことが出来たのですね。

今回の大震災では、
大津波の被害が大変大きかったのですが、
この点では、「どこに家を建てるのか」という問題が
一番の大問題になってくると思います。
そのうえで、たとえば津波の予想される方向に対して
建物を守るような頑丈な構築物を考えるとかの対策もあると思われます。
しかし、その上で、
どのような家を建てねばならないか、と考えれば
ライフラインも途絶するという、今や全員が体験したこの環境の中では
しっかりした駆体としての「断熱性」こそが、いのちを守ると言えると思います。
外気温と同じレベルになってしまえば、
関東以南とは言っても、冬にこうした大震災が襲えば、
ひとが安心感を持っていることは出来ない。
まさに、安全と安心はこういう条件で実現するのだと思います。
大きな教訓になっていくのではないかと思います。

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