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もうすぐ築20年のわが家

新築したときから、ずっと住み続けているわけで、
そういう継続の中では、ふり返るような感情は特に持てない。
ひたすら日常の時間が積み重なるなかで、
いくつかの大きな変化があっても、感慨は持たないもの。

わが家は、ブロックで建てられています。
この工法は戦後すぐの時期に北海道知事だった田中さんという方が
地域の材料を生かして北海道らしい家を、と考えて
ブロック造の住宅を大量に建てたことに由来します。
現在でも、多くの「三角屋根ブロック住宅」の街並みが
残っている地域もあります。
断熱の方法が内側で、結果として結露被害が続出して
「あれはダメだ」という評価が出てしまったのですが、
その後、断熱を外側にすることで
温熱環境の面では、大変先進的な工法技術として
評価が定まってきたもの。
コンクリートよりも安価で外断熱・蓄熱の効果を期待できるので、
もっと普及が進むかと思われましたが、
やはりコストの急激な上昇で、大きな普及には至らなかった。
わたしは、このブロックの規格的な格子形状が
デザイン的にもたいへん面白いと感じたのですが、
一般的には、これで仕上げは終わりなの?という反応が多かったのでしょうね。
最近は、あまり建てられたという話題を聞くことがなくなってきました。
ひとりのオーナーとしてはややさみしいものがあります。
意匠性の問題はともかくとしても、
「蓄熱」という概念を外断熱とともに組み合わせて実現した
という意味では、地域性を生かした建築のありようだったと思います。
今後の住宅では、この蓄熱概念が大きなテーマにもなるようにも思います。
この工法を一生懸命にやっていたのが北海道の建築家たちで、
そういう縁もあって、交流が深まった側面があります。
こういった技術的な側面を熱く語る、という存在として
「建築家」というひとたちを認識していた部分があり、
その後、他地域の建築家のみなさんと交流する中で、
必ずしもそういう志向性を感じることが少ないことも
違和感をもった記憶があります。

北海道の建築歴史の中にこの工法が
今後、どのように位置づけられていくものか、
これからも大切に使い続けていきたいと考えています。

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