きのうの日経に、表題のような記事。
内需型企業の典型である住宅産業も、市場縮小のなかで、
日本以外の市場を開拓しない限り、生き残っていけないということか。
その記事によると、
日本の住宅メーカーの優位性として
「高い断熱性能」という言葉があって、目をパチクリ。
そうだったかなぁ、っていうところですが、
たしかに積水ハウスは、洞爺湖サミットでも
モデルハウスを竣工させているので、
全国紙・日経がそのようにフットライトするのは理解は出来る。
ただ、それ以上に、こうした流れは
国交省なり、国の建築行政側からの強いプッシュを感じる。
今年度の住宅着工数、いまのところ、昨年対比微増の83万戸程度と
その記事には書かれている。
こういう情報は、国の統計がいちばん早いので、
記事の取材先がどのへんであるか、推して知るべし。
で、流れの解説では、少子高齢化の進行する日本市場では
今後の成長戦略は描けない、という起点からスタートして、
その打開策として、こういう展開と言うこと。
記事のどこを見ても、
企業側のの主導的意志を感じる点は少ない。
世界的に見ても、住宅「メーカー」の多国籍展開というのは
あまり例を見ない。
住宅は、移動可能な消費財ではなく、
あくまでもその土地・気候風土に立脚して存在するもの。
ということは、地域密着型が事業の基本形態。
それぞれの地域で、安く手に入れられる建築材料には違いがあり、
それを活かして住宅を建てていくとすれば、その建築技術も差異がありうる。
日本は、木の国であり、
在来木造構法という独自な建築工法を持っている。
その技術は、大手プレハブメーカー住宅会社にあるのではなく、
現場と、現場といっしょになって研究開発してきた運動にこそある。
日本の建築システムは技術的な蓄積を持った工務店組織と、
そのリアリズムを踏まえながら、高断熱技術を研究してきた
たとえば、北海道のような地域の共有財産として存在している。
大手の住宅会社というのは、
そうした技術基盤のうえに多少の材料の違い程度の「独自性」を
大きく宣伝して業績を伸ばしてきた。
事実上、製造業というよりもマーケティング業であった。
現実的には、大手メーカーの技術などは枝葉のことであって、
おおむねの技術知見は、下請けの工務店組織が負担してきているのが実態。
ただ、中央官僚の世界から見れば、
こういう業界をアタッチするのには、
できれば、扱いやすい大企業を通してのほうが、合理性がある。
このような、業界指導的な動きの相方としては、
積水ハウスが適していると判断しての流れのように感じます。
どのような展開になるのか、興味はあるのですが、
本来、こうした海外展開を考え、しかも護送船団的に
業界指導的に中央省庁が取り組むのであれば、
それは、「在来工法」そのものを海外に技術移転することのほうが
長期的には理にかなっていると思われます。
2×4工法は理にかなって展開しているけれど、
在来工法の合理性もけっして魅力がないとは思えない。
むしろ、融通無碍に間取り対応できる点など、
世界の市場で充分、戦いうるのではないか。
どうなんでしょうか?
Posted on 12月 5th, 2010 by replanmin
Filed under: 住宅性能・設備
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