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【コロナ後、北海道経済主力エンジン「観光」は?】


緊急事態のいまですが、やがて終息したとして、
6月以降、北海道地域経済予測を考えるときわめてキビシイ。

とくに北海道の地域経済、雇用の8.1%がそれに依存しているとされる、
「観光業関連」の長期的低落は避けられないだろう。
〜北海道庁「北海道観光の現況2019」より。以下データはこれに準拠。〜
最初の図は北海道観光入り込み客数調査で、データで示された直近2018年度では
総数5,520万人の「観光客」がカウントされていた。
2月の「雪まつり」までは、主力の中国がすでに影響を受けていたけれど、
そう「壊滅的」な状況ではなかったと記憶している。
しかし2月中下旬からきょうまでの推移はまず惨憺たる状況は間違いない。
総数5,520万人だけれど、そのうち4,601万人は「道内旅客」。
基本的な「観光収入」に直結するのは「道外客」「海外客」であることは自明。
この人数はそれぞれ607万人、312万人となっていて合計919万人。
それに「宿泊客・3,781万人」を合わせてみれば、平均的に4泊程度。
たぶん総観光消費金額の主力を占めるだろうこの顧客層が
どのように推移するかと考えると、まことにキビシイと思える。
そしてたとえ緊急事態宣言が解除されたとしても
移動の自由と感染の拡大はパラレルととらえられることから、
当面は慎重な「慣らし運転」のような状況で推移することは疑いない。
第2波への恐怖から、国内移動も「近場」志向になっていく可能性があるし、
海外客に至っては、渡航制限がいつになったら再開され移動が活発化するか、
このことはまったく予測不可能な領域だと思う。
きわめて楽観的に見ても、ことし後半から「徐々に」しか回復しないだろう。
道外・海外客は、東日本大震災の2011年水準(487万・57万)544万人水準を
大きく割り込むのは確実だろう、まだ想像出来る段階でもない。

さらにこの図は、「観光消費額」の推移を表したもの。
直近は「第6回調査」で、2014年度のもの。5年ごとに調査されているようなので、
2019年、昨年調査データがあるはずだが、このデータには反映されていない。
全体総額で1兆4,298億円。その内訳は道内客6,374億円に対して
道外客4,220億円、海外客3,705億円と圧倒的な「稼ぎ」になっている。
観光客1回あたりの観光行動消費の単価金額をみれば、道内客は12,865円、
道外客は73,132円、訪日外国人来道者は178,102円となっている。
ちなみに北海道のGDPは2016年度段階で19兆0181億円。
これは我が国GDP(名目)の3.46%に相当し、全国順位は47都道府県中
福岡県(同3.48%)に次いで第9番目となっている。
この「主力エンジン」が東日本大震災とも比較にならないほど落ち込むことが確実。
雇用者割合で1割に近い業種の状況がこのようであれば、
当然のこと、他の産業でも大きな制約を受けることになるのはあきらか。

しかし一方で北海道の場合、基本食料生産基地としての立場は強いだろう。
農漁業という基礎的な部分では高級食材などの分野は別にすれば、
おおむね堅調に推移すると思われます。
高級食材の分野でも、外出自粛・外食の縮小に対して
WEB通販などの業態が伸びていく可能性はあると思う。
今回の経験から、食の消費分野は目覚ましい伸びがあると言われている。
いのちの危機を味わった民は、その基幹である「食」に対して強いこだわりを
今後明瞭に選別的消費行動を取ってくる可能性が高い。
アフターコロナ、地域産業構造の地殻変動は避けられないだろうと思います。

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