本文へジャンプ

岩手古民家_5・屋根窓

6330.gif
さて、こういう古民家の場合、いちばん大きな欠点は
ほとんどが寄せ棟の大屋根が特徴で
室内への採光が十分には取れていない、という点。
間取り的に大きく、2階などを造作している場合も多いので
1階の外部に面した部分は思いっきり明るいのですが
奥まった部屋や、小屋裏部屋など、どうしても暗くなってしまうのですね。
こういう建物に、後付で電気が入っていった時代、近代文明というものが
非常に明快に多くの人に、よきものとして受け入れられたのは自然ですね。
こういう点を改善する方法として、現代の住宅技術では
天窓の取り付けという手段があります。
傾斜屋根に沿って、防水もしっかり取れる採光窓が可能なのです。
とはいえ、既存の屋根の素材であるとかによって
作業は慎重に行われる必要があります。
この家の屋根は、陶器製の瓦ではなく、瓦風の板金という変わったものでした。
現在はほとんど見かけなくなったけれど、昔、こういうのが一世を風靡したのだそうです。
瓦のようなデザインで、板金なので重量も軽くていい、と
受け入れられていたのでしょうね。
まさに住宅建築の歴史を追体験できます。
基本的な住宅デザインはそのままで高性能化する、という今回の改造、
こうした部分ももちろん、そのままでリフォームします。
水じまいにしっかり配慮しながら、写真右側のように
屋根の上側を少し工夫しながら、屋根をはめ込んでいきます。
こうした上で防水し、板金処理していくわけです。
窓の位置は、室内の必要採光場所を計算しながら、開けていきます。
いろいろな時代の変遷がひとつの建物にいっぱい詰め込まれていて
そこにまた、現代の最新の技術が注ぎ込まれていく、
そして古民家が、ふたたび力強く再生され、次の時代までひきつがれていく。
非常に興味深く、また建築技術の側面から考えても
思いの尽きない建物になっていきますね。
きっとまた数十年後にも、こういう再生工事が行われるかも知れません。
そのときに、その時代の建築技術者のひとたちが
またその時代の先端技術を加えて、さらに長い年月を
重ねていって欲しいものと、思いますね。
そのためにも、いま私たちの時代が持っている技術を
しっかり多くのビルダーさんが、獲得して欲しいものだと念願します。

コメントを投稿

「※誹謗中傷や、悪意のある書き込み、営利目的などのコメントを防ぐために、投稿された全てのコメントは一時的に保留されますのでご了承ください。」

You must be logged in to post a comment.