IOCから来年の東京オリンピック・マラソン開催地に札幌の名が上がった。
要因はあきらかで、年々凶暴化する「気候変動」による酷暑。
35度を超える大会期間中の気温条件では、
アスリートたちにとって危険な状況であることはあきらか。
決定までにはまだ曲折もあるかも知れないけれど、
アスリートファーストで考えれば、流れは決まっているのだろう。
国際都市として相当充実したインフラを持ちつつ、
首都と気温で5度以上違う日本のバックアップシティにIOCは着目した。
日本の大都市の年平均気温は東京から福岡までだいたい16度前後だけれど
札幌はおおむね9度前後。(仙台は12-13度)
しかも飛行機移動では世界有数の旅客数路線で羽田から1時間半程度。
この時間距離も東京からたとえば千葉までの移動を考えても
そう大きな「距離感」とはいえないだろう。
このような緊急的な選択多様性は国の価値を高め対外的に有益だと思う。
札幌に住んでいる人間からすると、この期間中(8月上旬)は、
当地としてもものすごく暑いので大丈夫か、という不安はあるけれど・・・。
このことが暗示的だが、巨視的な近未来気候変動対応として、
日本にとって寒冷気候の北海道の開拓・領土経営に成功したことが
大きなプライオリティとして浮かび上がってくる可能性が高い。
人類全体では蒸暑地域に8割以上が生きているけれど、
科学技術発展は、やや冷涼な西欧から発祥していった。
関東以西・以南地域が気候変動によって夏期、暮らしづらいほどに
過酷な環境になっていく可能性は年々高まってきている。
亜熱帯化する関東以西・以南地域の人口集積は80%を越すけれど、
冷涼な札幌・北海道の活用可能国土はまだ余力を十分持っている。
・・・しかも、寒冷条件をクリア可能な「居室内環境」技術が高い。
国が定めた住宅性能基準を地域全体レベルとしておおむね満たしているのは、
誰の目にもあきらかだという事実がある。
新住協の今年の総会ではおおむね蒸暑の夏期対策が検討されたけれど、
寒冷地の住宅技術がより広い地域の人間居住環境に劇的変化をもたらすことに
多くのひとが気づき始めていると実感した次第。
人類危機的な巨大な気候変動への国家対応は
ようやく北海道がニッポンの役に立つことができる局面なのかもしれない。
<写真は明治8(1876)年竣工の「琴似屯田兵屋」群>
Posted on 10月 18th, 2019 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング, 日本社会・文化研究
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