もう5−6年経っているのですが、国が「長期優良住宅」事業を行って
その「補助金制度」を利用しての北海道での受け皿的な
制度設計として「北海道R住宅」というリフォームシステムを作りました。
内容については、WEBで検索していただければ、
道庁のHPや、当社ReplanのHPなどの詳細説明ページも
上位で閲覧可能になっていますので、ご確認ください。
一昨日、北海道の地域工務店ネットワーク・アース21例会で
この制度を利用して札幌市内の古い家を改造した店舗を見学しました。
札幌市西部の手稲山系からのなだらかな丘陵傾斜地の住宅街に
幹線道路に面することもなく、手作りケーキとカフェを提供している。
どうやら「わざわざ店」的な口コミだけで頑張っているようでした。
敷地は旗竿的ですが駐車場も含めるとけっこうな大きさのようです。
駐車場はたぶん全部で10台分くらいはありそう。
外観をみればわかるように、敷地は左右で1m以上の傾斜がある。
その傾斜に沿ってパラペットが3つに分かれていて、
それもデザインに取り込んでいてかわいらしくて、悪くない。
経緯を聞いたら、たまたま親御さんの遺した住宅を相続し、
そのときにたまたまこの「北海道R住宅」の制度が合致して、
獲得できた補助金が大きな支えになって、この店舗併用住宅が
計画起動したのだということでした。
もし、そういう制度利用ができなければ実現しなかったプロジェクト。
建物の奥側を中心に親御さんが遺した庭があって、
その庭木に対して大きく開口させて、落ち着きのある「離れ」的な
都市の中の「一服できる」空間が出現した。
コンセプトとしては「昭和的なノスタルジー」を狙ったとされていた。
きのうも触れましたが、北海道ではいわゆる「古民家」的な存在として
もちろん江戸期にまでさかのぼるものはなく、
明治や大正期建築も、いわゆる擬洋風建築的なものが多くて
いわゆる「民家」的なたたずまいを求めるとしたら、
昭和の、ちょうどわたしのような50-70代の年代が生まれ育ったような、
そういう住宅が回帰可能なデザインイメージなのだろうと思います。
既存の昭和期の木造住宅に対して、構造をしっかり補強し、
現代の基礎的な断熱性能で改修して、シンボリックな開口部には
木製3重ガラス入りサッシを使い庭との応答、性能デザインを可能にした。
長く使い続けていく「愛着」に対し力強い存続価値を付加した工事。
制度設計にかかわっていた者として、
こんな風な建物の存続・再活用の役に立ってくれたことがうれしい。
店舗なので北海道R住宅制度のランドマークに育って欲しいと思います。
喜茶ゆうご 札幌市西区宮の沢3条4丁目6−8 011-555-5870
<設計施工/ヨシケン一級建築士事務所 011-641-4906>
Posted on 8月 29th, 2019 by 三木 奎吾
Filed under: 「都市の快適」研究, 住宅マーケティング
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