一昨日のブログ、【大工職人さん減少が示していること】について
けっこう多くのみなさんから反応をいただきました。
そのなかでの書き込みご意見に深く気付かされました。
建築業界で主導的に活躍される西山祐幸さんからのコメントで
「業界内部の構造から見ると、プレハブが伸長して全国で工務店を
下請け化した。下請工務店としてはプレハブメーカーの下請仕事は
大工の技術の出番は少ないし下請工賃の中で弟子を育てる気にはなれない。
木造系のある企業では30年以上前から自社で職人を育成する体制を
作りましたが、プレハブメーカーの下請工務店は消耗する一方。
自力で(元請で)生き抜いて来た工務店はともかく、
長年、下請を続けてきた工務店は、
今更新弟子を育てる体力、気力は無くなっているのが実態です。」
というご指摘でした。
全国の工務店業界に深い理解をお持ちの方ですので、
わたしどもも、強いインパクトを受けた次第です。
というのは、わたしどものような住宅雑誌が基本的に
ウォッチする対象の「工務店」という存在は元請け工務店なのです。
自分で営業開拓して受注し大工職人の工賃もその将来的な安定的確保を
念頭に置いて、いわば長期的な戦略性を持って対応している。
いまは苦しいかも知れないけれど、将来はこういう製造力が
必ず大きな力になると信じて、そういう業態を維持している。
しかしそういう「元請け」独立自営志向の工務店という存在は
全体の中ではそう大きな割合であるわけではなく、
もちろん、元請けと下請けが混合的という業態もあるけれど、
多くの工務店は、大手ハウスメーカーの「下請け」が本業になっている。
こうした下請け工務店とはどうしても情報の縁が遠いのです。
元請け工務店は技術情報にも非常に敏感に反応するし、
それがそのまま、自社のレベルを上げていくことにもつながっている。
そういう企業としての意欲が、大きな違いになって行かざるを得ない。
いま、大工職人の圧倒的な減少局面でも、
こうした工務店のスタンスによって影響に違いができてきている。
たしかに下請け工務店では大工職人の安定的雇用環境・育成にまで
意識は至らないだろうことは,容易に想像できる。
大工職人の数の減少も大いに危惧されるけれど、
より本質的には熟練技能というものが衰退するということが、
ニッポン全体の活力を減衰させることにつながっていく。
社会全体が、こういう危機を認識していく必要があるでしょうね。
技術の衰退は国富を毀損しかねない。
Posted on 7月 3rd, 2019 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング
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