きのうも触れましたが、わたしは以前写真のような家を「計画」した。
設計施工は札幌のヨシケン・吉田建産さん。
同社の吉田専務と北海道に暮らす庶民の家という
「普遍性」コンセプトについていっしょに考えていた。
わたしの親族の家で総建築コストが小さく抑えられて、なお、
断熱は約20年前時点での上位レベルを実践して暖房コスト極少、
1階居間FF石油ストーブ1台で家中の暖房が事足りるように考えた。
面積的には総坪数36坪の総2階建て住宅。
Replan誌でも発表したけれど建築費用は実際より少し多めに表現した。
「もし同じコストでといわれたら・・・」
という不安心理が働いて、参考価格としてセーブして表した。
それほどローコスト・高品質にこだわって作って見た。
まぁ36坪床面積で総額1000万円台前半に収まっていた。
そのときに、いちばん論議していたのが「間取り」計画。
表題のように「3間×6間総2階建て」でご覧のプロポーション。
2階の床レベルすぐくらいから屋根をかなりの傾斜で立ち上げた。
いわゆる「矩〜かね〜勾配」という45度傾斜の屋根とした。
当時、ヨシケンさんと「スウェーデンの伝統住宅はコスト的に確かに
合理的なデザインだわ(笑)」とため息交じりの会話をしていた。
このような設計仕様にすると材料的なムダは極小化され、
構造材レベルでの価格合理性が高いことに気付いていた。
問題は2階の床面積的に天井高が確保しにくいこと。
急勾配で屋根面が立ち上がるけれど、どうしても縁辺部では
天井高が不足するので面積的に使いづらい場所ができること。
できれば2階1.5m高くらいまで壁が立ち上がると楽になる。
しかしこれも家具配置の工夫などで、クリアできる。
実際的には天井高が少なくて不便ということは実感しない。
プラン的には3間間口だといわゆる「ウラ動線」は確保しづらい。
4間×4間の合理性にもこのとき、大きく気付かされた。
間取り的な自由度が飛躍的に向上することが知れたのですね。
しかし総コスト極小化ではこっちのプランの優秀さに軍配があがる。
で、外観的には「スウェーデンの伝統住宅」。
軒先の長さにはヨシケンさんがこだわってくれて
全体のプロポーションが「かわいらしく」収まった感じがある。
この「万人向け・北海道スタンダードの家」は、
20年近い歳月を経ているけれど、大きな問題もなく推移している。
こうした計画は「普遍性のデザイン」ということに通ずる。
万人のための合理性に満ちたデザインということの探究。
自分の家ではブロックという素材とか、ポストモダンっぽい、
シブ派手、みたいなデザイン性を重視したいわば「数寄屋」趣味で
考えていった建物になったけれど、ここでは
このような万人向けということを最優先で考えていた。
どっちがオモシロかったかと聞かれれば、わたし的には・・・
どっちもオモシロかったと思っています(笑)。
Posted on 3月 7th, 2019 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング
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