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減築のはじまり?

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しばらくの間、十数年間ほど朝日新聞の購読をやめていた。
朝日新聞を巡っては、最近多くの事件や動きがあって、メディアとしての危機だった気がします。
戦後社会の中で一貫して取り続けてきた朝日新聞のスタンスは
良くも悪くも、日本にたいへん大きな影響を与え続けてきました。
そのスタンスが最近、なにかが変わってきている感じがします。
で、新年から1面で連載されているコラム。「再生・新生」。
現状否定的なスタンスが、一貫した朝日のスタイルだと思ったら
日本的なモノへの多少は前向きな記事構成になっています。
ずっと批判ばかりして、生産を向上させるとか経済を活性化させる、
ということに無関心だったのが朝日だった印象が強い。
一時期、失われた十年のあいだ、社会が閉塞感にあふれているのに、
メディアがこうした姿勢でいいのか、とすごく嫌いになった時期があったのですね。
それがやっぱ、すこし変わってきている。
批判ばかりじゃなく、じゃ、メディアとして今後の社会をどう考えるのか
そういうポイントの一端が、このコラムから感じられます。
元旦号では、これまで朝日がむしろ、否定的と捉えてきた日本的システムに
肯定的な側面をクローズアップさせ、
同時にもっといい日本になるためには、どのように考えたらいいのか、という視点があった。
朝日もまた、自分自身を変えようと模索し始めたのなら、いいことだと思う。
で、きょうのテーマが『膨らんだ街、「減築」中』。
いろいろな取材を重ねた末に書いたのだろうと思うのですが
わたしたち建築関連のものにとって、はたして、社会はここに踏み込めるのだろうか、
と思っていたテーマなのです。
今日この時点で、このテーマを持ってくるのは、確かにメディアとしてイマジネーションが豊か。
記事の要旨は人口急減期を迎えて、生活の質の豊かさを確保するために、
「量を減らす」ことに知恵を発揮しようということなのですね。
先日スウェーデン・ヨーテボリから来た「無暖房住宅」を設計した建築家の講演でも
触れられていたテーマとも繋がってきます。
かれの講演では、開発途上国がこれからエネルギーを多く消費する分
先進国では、それを見越した上でその増加分を上回るほどに
エネルギー消費を削減して、しかも現状の豊かさをさらに向上させられる
そういう「進歩」が絶対に必要だ、というメッセージが出されていました。
人口問題もエネルギー問題も、まさに同じ課題にこれから直面するのです。
この機会をチャンスと捉えて、生活の質の向上に結びつけていくという
ほんとうの意味の知恵が、求められてくるのでしょうね。

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