藤森照信さんという建築家は、建築探偵団とかユニークな設計作品で
なんとなく惹かれている建築家なのですが、
高断熱高気密とかの建築技術的なことについて関心を持っているのかいないのか、
そういったことについての知識はありません。
氏の建築作品を調べていても、北海道での建築はないとされています。
ということなので、北海道的には縁の遠い建築家というイメージ。
でも、氏が発言されたり作られたりしている建築を雑誌や写真で見ると、
手ざわりのある自然素材に対しての傾斜感がハンパなく感じられ、
そういう意味では現代人のある性向を端的に表している。
高断熱高気密住宅でも、気密化においては石化製品・ビニールであるとか、
断熱では工業製品であるガラスを再利用するガラス繊維や石化製品である
発泡系プラスチック断熱材などが不可欠に利用されているけれど、
人間が感覚可能な部分では自然素材を使いたいと多くの人が自然に考える。
このあたりのことについて、原理主義的に石化素材を拒否するようなひともいる。
で、素材について有機系の断熱材を使いたいとか、
気密化でビニール素材を使わないようにしているとかの傾向も存在する。
それを理解はできるけれど、そのこだわりにどこまで意味があるか、というのが
寒冷地に生きている人間のフツーの実感。
結果として人間を暴力的な気候から守ることが目的であって、
現代世界が生み出す石化製品一般を拒否するのは狭量な原理主義と思える。
こういった点についての、藤森さんの発言は不勉強で知らない。
そこはわからないのですが、社会に発表される建築の志向自体は
北の方から見ていても、興味深く見させていただいている。
先般、九州をあるく機会があったとき、
できれば藤森さんの建築作品を実際に体験してみたいと思ったのです。
とはいえ、予定がどうなるか、まったくわからないし、
時間と予定が許せばということでの探訪でした。
台風の関係で本当は見たかった宇宙開発センター(池辺陽)が不可能になり、
その余波で早めに熊本県に戻ったので見ることができたのが、
熊本県立農業大学校学生寮であります。2000年の日本建築学会賞・作品賞。
外観だけから、気付いた様子を挙げてみます。
この建物へのアプローチには趣向があり、
建物へ向かっていく外周に土盛りの「塀」があります。
この塀の真ん中に植栽が施され、その緑のアーチを抜けると1番上の写真。
で、まっすぐ正面に向かうと、自然木とおぼしき立木状の木が目に付く。
玄関の傾斜屋根を貫いているかのようなのです。
で、近接したら、ディテールは3枚目の写真のようになっていた。
板金で「自然木」との接合部は被覆されて雨対策はされていた。
現在築後17年くらいは経っていての現状の状態がこのようであります。
この「自然木」はギミックとしてあるのか、
いや本当に自然木であるのかは、よくわかりません。
自然木であるとすると、上部では葉っぱや枝がないので破綻しているのかも知れない。
ギミックとしてならば、ある感覚はたしかに想起される。
・・・、っていうように興味はいろいろと持ったのですが、
まぁ今回は、雰囲気としての藤森照信作品という体験させていただいた。
そのうち、もうちょっと密着していきたいと思わされました。
Posted on 8月 21st, 2017 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅マーケティング, 住宅取材&ウラ話
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