室蘭にはよく行くけれど、一度もきちんと建物を見た経験がない。
どうもそんな後ろめたさが募ってくる、前期高齢化寸前のきょうこの頃(笑)
休日となると、こういった古建築を巡り歩きます。
この建物、いろいろな紹介文はおおむねこんな感じ。
旧室蘭駅舎は明治45年に建造され、北海道内の駅舎の中では
最古の木造建築物です。建築様式は、寄せ棟造りで、
明治の洋風建築の面影を残す屋根や白壁づくりの外観、
外回りは入母屋風で「がんぎ」と呼ばれるアーケード様式となっており、
全国でも珍しい建築物となっています。
平成11年7月には、「国の登録有形文化財」に登録され、
平成22年10月には、JR北海道の「準鉄道記念物」に指定されました。
で、外観で見ると石造りかと見まごうような重厚感のあるデザイン。
なんですが、2枚目の写真を見ておわかりのように、
内部には柱が1本も立っていない、がらんどうであります。
外部にあった「由緒書き」には、「時計台と同様の・・・」云々とありましたが、
推測するに、これはツーバイフォーの原型とされた
バルーンフレーム工法で建てられているのではないかと思われました。
札幌時計台も、内部は大きなホールになっていて、構成は「同様」。
巨大な屋根はトラスだろうと思われるのですが、
その木組みは残念ながら天井が張られているので見られません。
しかし時計台をはるかに凌駕する内部の大きさなので、
この時代の北海道の建築としては、時計台以上の資料価値があると思います。
一見すると2階建てに見えるけれど、
大きな「平屋建築」であり、外部に「雁木」的に回された
回廊装置は、構造とは無関係のものだろうと思います。
大きな寄せ棟屋根とドーマー窓、石の煙突などで、やさしい印象を与えてくれる。
スケールは大きいけれど、なにかしら住宅風の風情が感じられます。
木造建築の味わいが、多少のバタ臭さはあるけれど、
それもまた、いかにも明治を感じさせてくれて楽しい。
真横から外観を見ると、2階にみえる位置の窓が
どうも水平ラインに破綻が見られる。
さすがに103年の時間の風雪感がありますが、
そういうのも、正直に古びている様子と受け止められる。
こういった明治の建築って、考えてみれば
日本の歴史の中では、京都の造営に先立つ奈良の古建築群が
現代と明治末期のあいだ同様に、おおむねこれくらい
100年の間隔があったのだと思います。
工法やデザインの違いを、かの時代の人たちも
そのように認識もしたのでしょうか。
いろんな想念を惹起させてくれる建物でした。
Posted on 4月 21st, 2016 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅取材&ウラ話
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