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近代主義・プレハブの崩壊感

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みなさんは、きれいなものばかりが好きでしょうか?
美しいものには、わたしも強く惹かれるし、そのために生きている
そう思っているのですが、一方で、
ものが崩壊していく、崩れていく様を見るのも、
ときどき、強烈なうずきのように表出してくる瞬間がある。

きのう、坊主の免許取得後の初ドライブに助手席で付き合っていたのですが、
札幌から北の方に脱出する日本海岸沿岸には、
海風にさらされた漁業施設群が点在しています。
木造で主に作られていた時代の建物には、独特の時間推移感が
自然素材のまっとうな風化がともなって、
いわば美しく老化していく様が見えてくるのに対して
鉄骨とか、プレハブ建築の破綻していく様は、
まことに驚くほどの「無様さ」が感じられると思っています。
ただ、そういった「驚くべき崩壊感」というものもまた、
好奇と、さらに一種の美観ももっているのではないかと、
そんなふうに観ている自分がいます。
きっと、人類史が近代・現代に時代が変化してきて、
近代以前に人類が作っていた、自然物素材を加工してきたものたちは
風化という美をわたしたち人類に見せてきたのに対し、
近代工業化社会が生み出してきた、大量の工業化製品・人工物というのは、
いったい、どんな崩壊をわたしたちに見せてくれるのかという、
そういう人類的な新しい興味が膨らんできている。
そういった一種の期待感が、こういう光景をピンナップさせるように思います。
ちょうど、この写真では、規格的寸法で造作されたプレハブ構築物が
自然界の物理的法則の試練を与えられて、
思わぬほどの奇怪な崩壊の姿を見せているように思われました。
モンドリアンの絵画のような美の発見感(笑)。
正確な工業化寸法で取り澄ましていたものが、
風化や、気候条件、強い寒冷と日射熱膨張の繰り返しによる
規格的寸法の破断ぶりを見せている。
まるでついに神の罰が人間に対して始まったような
そんな驚きを感じさせてくれるのではないか。

破断ぶりの細部を見ながら、「おおお、」とか
声を上げながら、不思議に喜んでいるヘンや男であります(笑)。

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