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鎌田紀彦氏の真髄 木造工程を科学探求する

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さてきのうは、新住協北海道地区大会2日目。
9時スタートから午後1時まで、中身の濃い研究大会。
大きいテーマは、断熱の厚みをもっと厚くするための工法の科学探究。
そしてそのような環境での暖房装置選定の科学研究。
いかにも北海道地域から進化してきた新住協のコア大会。

鎌田紀彦先生がほかの住宅建築研究者と決定的に違うのは、
理念だけを語るのではなく、その理念を現場工程で
どのように具体的に、工務店・設計者にとっての死活的テーマである
「安価に、合理的に、どうつくるか」を
きわめて実戦的に探求していく姿勢にあると思います。
日本における住宅建築工法は、在来の柱・梁で構成する工法。
その条件下で、それを進化させる方向で、
現代が求める最前線レベルまで性能を引き上げていく努力。
それも、相方としての工務店が組織丸ごととして理解出来、具体的に
すぐにも実践できる手法、手順まで解析していく。
そのためには、大工さんの現場心理まで飲み込んでもいる。
氏は、「建築システム工学」の研究が専門領域であるのですが、
そのなかでも木造の工法進化、現代化を追求されてきた。
北海道の工務店は、暖かい家を合理的に、そして安価につくる手法を求めて
氏と協同して、自らの建築現場を活用し工法開発の実験場としてきた。
そういった関係性が、明瞭な形で伝わってきます。
厚い断熱壁面になってくると、その断熱材を安定的に保持させるための
それも出来るだけ安価な手法開発が不可欠になってくる。
2枚目の写真のような「断熱材保持」の金物の設計まで必要になる。
さらには、具体的には垂木をどう主体構造に緊結させるか、
長いビスを正確に下地構造に安定させるか、
というような方法の研究も欠かせなくなってくる。
そのために垂木に事前にビス穴を開けておき、
そこに貫通させるビスの寸法、種類にまで解析範囲は及んでいました。

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こういった部分まで、工務店の具体的な現場力解析は及んでいる。
ここまで実戦的な木造研究者は、やはりなかなか稀有な存在。
上の写真は、会場で展示されていた、
ビスを使わずに屋根にPVを据え付けるための装置。
木造住宅を進化させていく技術開発は、時代の変化につれて、
これからも、より深まっていくでしょう。
考えてみれば、法隆寺の六角形の「ログ」構造など、
日本には、木造を科学するという強い伝統はあるのだと思います。
いまダイナミックに進化しつつある木造、面白いと思います。

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