きのうの投稿にはたくさんの貴重なご意見が寄せられました。
そのなかでもキワだったご意見がありました。
わたしのようなユーザー目線的には、「住環境」として、
住宅と植栽は一体性の高いものとして理解しています。
日本の住宅文化伝統からして、庭あるいは、外部の緑を景観として
住生活にうるおい、あるいは不可欠な美観要素として取り込むのは、
きわめて自然な営為だと思われるのですが、
現在の行政体制では、住宅建築と公的植栽管理はまったく別の部署であり、
いわゆる「縦割り」行政の結果、
住宅復興には予算が付くけれど、植栽には一切付かないのですね。
どうもこういった部分、都市や人間環境にとって植栽が果たしている役割理解、
有用性認識では、江戸幕府までの政権の方がまともだったかも。
江戸幕府創設時、家康は政権掌握後すぐに
江戸ー上方間の情報伝達円滑化のためもあって、
東海道にマツを植栽せよと政令を発したとされているし、
さらに江戸の都市造りに於いて、各大名屋敷に庭園造営させた。
それが時代が下って、庶民にも鑑賞が許されるようになって
独自の江戸文化が花開いたとされている。
そういった権力の植栽への態度・姿勢は、いまの日本社会の基底に存在し
ある大きな魅力を創り出していると思います。
今回の東日本大震災のような全的被災後の「復興」で、
失われた「文化」が、全的には復興されないという現実は、悲しい。
現在の憲法その他の法体系、社会システムとしての行政組織の
基本的欠陥を見る思いがします。
さて、そういった縦割り行政のなかでの「復興」建築ですが、
現場ごとに、いろいろな取り組みを行って良き事例を実現させているのも事実。
この写真の七ヶ浜の災害公営住宅建築(設計:松本純一郎)では
画一的なコンクリートマンションとは一目で違う建築が出来た。
敷地の高低差に対して、すなおに建物を寄り添わせるような配置計画。
結果として、各駐車場からそれぞれフロアレベルに
階段やエレベーターを利用せずにアクセス出来る環境が実現していた。
さらに、各住戸は微妙に角度が付けられていて配置されていて、
お互いの視線が正対にならないように結果として出来ていた。
視線がややズレていくように仕掛けられていて、
その印象がまことにやわらかい人間環境と理解出来た。
すこしズレているけれど、お互いの存在への気付きはあるという配置計画。
きのうご紹介した災害公営住宅とは、出来映えがまったく違っていて、
きわめて好印象を抱かせられました。
さまざまな桎梏・困難はあるけれど、そこを突破する手法を
つねに現場的に知恵を絞り,工夫を働かせることで、
人間のために、より人間的な環境に近づけるような営為、
建築の良き面を見せてくれたように思いました。
さて本日から既報のように、韓国ツアーであります。
総勢9人でのツアーですが、現代建築・王宮建築・都市建築
伝統的住居、村落建築群などなど、
近くて遠い国を、真っ新な目でウォッチしてきたいと思います。
基本的にインターネット環境は整っていると聞いていますので
毎日更新は問題なく続けられると思います。
あすからも拙ブログに、訪問くださいますようにお願いします。
Posted on 3月 7th, 2016 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅取材&ウラ話
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