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掘っ立ての東屋

7457.jpg
先日書いた平取町の「義経神社」境内で
思わずシャッターを切りたくなったのが、この東屋。
用途としては清めの手水所で、竜の蛇口から水が流れておりまして、
なかなか立派なんです。
流水を受ける流し台は岩をくりぬいたようなんですね。
こういうしつらいは、
「お、なかなか、いけるじゃんか!」っていうところ。
で、外観全体もなんともいけているのです。
柱は、地面からそのまま生えているような掘っ立て柱。
それも自然木の皮を剥いだままの木材を使用しているので、
垂直といっても、寸法はきっちりと決まってはいない。
掘っ立てって、技術的には単純なだけにすごく難しいもの。
わが社でも、外部に古電柱の照明を連続させたときにその工事を見たのですが、
三内丸山遺跡以来、っていうような縄文から続くであろうような
技術伝統をかいま見せてくれる工法なんですね。
それに梁を渡して、屋根組みしていますが、
屋根もなんと、茅葺き。
すべて自然素材の質感そのまま、屋根からは青々とした草も見えている。
っていうようなたたずまいの空間が、境内の森の一隅に
つつましやかに建っている・・・。
ふむふむ、なかなかにいい仕事、していますなぁ
(なんでも鑑定団ふうのため息)
という感想を持った次第であります(笑)。
本体の神社自体は、あまり歴史的な由緒に価値はないのではと思われましたが、
どっこい、こっちのほうは、一見の価値がある。
むしろこういうところにこそ、日本的な美的感覚のエッセンスがある。
どっちかというと、自然の木をそのままそこにおいて、
しかも建築的機能を果たしていますよ、というような感覚でしょうか。
岩も、ごく普通にある岩が、よく見ると手洗いシンクになっていますよ、
というようなさりげなさを装うデザインマインド。
ちょうど西洋式の庭園がこれでもかと人工的に作るのに対して
日本の庭園が、ひたすら自然な表現を心がけているのに通底している。
残念なのは、仰々しく立て札が置かれてあって
なにやらこれ見よがし風に読ませられそうな点。
ここまでさりげなく作っているのなら、それを貫徹して欲しかった(笑)。
でもまぁ、許してあげたいところです。
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