さてきのうの断熱・気密仕様関係に続いて、きょうは内装工事から。
右側の写真は室内の工事の様子です。ツーバイフォーで構造が立ち上げられ、壁面に下地材であるプラスターボードが張られてから、目地処理をおこなっている様子です。日本の場合、ボードなどの寸法は3×6という規格ですが、カナダやその他一般的には4×8という二回りほど大きな規格になっています。
このような規格の違いはいろいろな差異を生み出します。世界標準と違うということは、端的に価格にもはね返ってきますよね。
もちろん現場で扱う職人さんの体格差というものもあるので、扱いやすいという点では日本の規格もすぐれている面はあるかもしれませんが、それで価格が上がってもかまわない、という問題ではありませんよね。ま、いろいろな角度から意見が出ることなのですが、違いがあることは認識しとくべきでしょう。
写真の職人さんは高所作業の利便性を考えて、スチール製の「高下駄」を装着しています。日本の場合は、こうした場合、ほとんど内部に足場を造作します。
左の写真は、外部の足場がかかった状態の写真。ごらんのように非常に簡便な足場になっています。日本の住宅コストの中に「足場掛け損料」という項目が必ずあって、たぶん数十万円に上っているはずですが、カナダでは当時、足場を掛けるのは、職人の「自己判断」であり、そうしたほうが結果的にコストの面でも、工期の面でも合理的だと判断してやるということでした。ひるがえって日本の場合は、足場は建築の法規で使うように定められていて、そのレベルも細かく特定されている、というのが現実。
内外価格差を生み出す、ポイントの大きなひとつがこのあたりにあるんです。
世界一般では、基本的には工事現場で誤って足場から落ちてけがしても、職人さんの自己責任。それをケアするのも職人さんの職能組合で保険に加入している、と聞きました。いっぽう日本では、ちょっとした不注意で建築現場で同じように怪我した場合、たぶんすぐにマスコミが飛んできて、「使用者の監督責任は」とか言い始めます。
そしてすぐに「こんな問題を放置していた役所は、いったい何をやっていたんだ」と大騒ぎになる。その結果、官僚システムの側は、対応策を出して、「完璧に再発しないような」システムを業界全体に対して「指導」します。
おわかりのように、それらはもちろんコストアップに結果します。
すべてがそうというわけではありませんが、ひとつの例としてはこういうことが言えるのです。
ご丁寧に、その結果の官僚システムの肥大に批判の声を一番上げるのもマスコミなんですが・・・。ま、マスコミじゃなく、日本の「世間」っていうふうに言いかえてもいいですけど。
もちろん、誰が悪いということではなく、日本の社会システムってことと理解していただけるといいと思うのです。
うぅ〜む、ディープすぎたかな。ブログのテーマとしては?
Posted on 9月 28th, 2005 by replanmin
Filed under: 住宅性能・設備, 海外住宅事情
わたしも以前、札幌市西区山の手でカナダ人が施工している2×4の住宅建築現場を取材したことがありますが、同じように職人さんたちが「高下駄」をはいていました。それをはいたまま器用に現場を歩いている職人さんをみてびっくり。労働基準監督署が見たら、卒倒しそうな光景でした(笑)
建築コストに比較では、職人さんの多能化が進んでいることも一因ではないでしょうか?わたしが見た現場では、スパーバイザー(現場主任)が工程管理、品質管理、コスト管理をすべて取り仕切っていました。
そうですね。ユーザーに提示する見積もりはかなり正確なんだけれど、さらに現場管理でコストカットして、そこからでもトータル5〜6%もうけを生み出す、ということでした。
それは別にユーザーに還元しなくても問題のない、自社の企業努力ですよね。うまく仕事したことで生み出される利益だと思います。