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ゴミにするのか、再利用するのか

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きのうの「サルベージショップ」の続きです。リプラン誌面ではあまり大きな扱いではなかったのですが、これからの住宅建築の方向性の中で、これはけっこう大切な部分ではないかと思います。
環境問題が大きなテーマになってきて、ライフサイクルCO2(ものの原材料から生産・存続に要する全プロセスでのCO2の貸借対照という考え方)の見方から、住宅建築も見直されるようになってくるとき、いつまでもスクラップ&ビルドだけを繰り返していていい、とはならないと思われるからです。
以前はいわゆる「ミンチ解体」といわれるやり方で、住宅を構成するすべてのものを細かく砕いて一括して産業ゴミとして処分できたのですが、いまは細かく仕分けて「分別」しなければならなくなっています。コンクリートであれば鉄骨とコンクリート本体に分ける、木材とアルミなどのサッシ類もきちんと仕分けるなど、実際に見ているとわかるのですが、ものすごく経費がかかるようになってきているのです。
まぁ、当然ですね。
ウチの事務所の道路を挟んだ向かいに春まで建っていたRCの社宅が、ことし春から解体され、それが夏からマンション新築工事になったのですが、なんと解体に要した時間だけで3ヶ月。毎日のようにウォッチせざるを得なかったのですが、確かにすごいことです。総建築コストの中で、こうした解体に要する費用ってものも、たいへん大きなものになって行かざるを得ません。
そして、そこまでしてすべてやり変えることが、倫理的にも許されるのかどうか、微妙になってきた。
写真はきのう紹介したサルベージショップの続き。
ローマはギリシャの材料で作られた、っていう話があるそうですが、右側のレンガなどのように、時間を経るほどに味わいが出る素材の場合、たしかにそのほうがいいでしょうね。しかし一方で、経済としてみたときの合理性は、依然としてスクラップ&ビルドが圧倒的に有利。
このふたつの考え方の間で、住宅建築はこれからゆれ動いて行くのだろうと思います。
どちらにせよ、これからはリフォームの魅力の向上が求められるということには変わりがないだろうと思います。結局ユーザーが結論を出す問題なのでしょうが、「もったいない」ということから、リフォームを選択することに大きな魅力がある、ワクワクたのしく選択出来る、というように意識を変えられるのか、それが住宅を造る側にこれから求められるようになることだけは、確かなような気がします。
やっぱ、わかりやすいのが「劇的ビフォーアフター」なんでしょうね。

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