写真は、きのう取材した岩手県・山田町の「復興住宅」のようす。
こちらのお宅では、震災前の敷地に再建することが出来ました。
地盤面が50cm地盤沈下したという設定に基づいて
さらに地盤面を50cm嵩上げ、現状地面から1m嵩上げして建設されています。
以前の家は津波被害を受けて全壊。仏壇は発見できたそうですが、
その仏壇を飾るには忍びない、ということで、
お焚きあげして、あらたに造作の仏壇を作ることになったのだそうです。
震災復興住宅と一口に言われるけれど、
家を建てると言うことは、こうしたご先祖さまとの共生も
いっしょに再生させるわけで、
心と心の豊かな交流が、依頼者と建築側との間で
ひとつひとつ関係が作られた末に出来上がっていくもの。
あだや、疎かには進められない、
そんなものなのだということを、感じさせられます。
まだ、入居前なのですが、
その建て主さんとの話し合いの過程を聞いていると、
そのご家族が、ご先祖様との関係を、どうしようかと深く思い悩み、
そしてひとつの結論を得て、
こうした建物になったプロセスが伝わってきます。
建て主さんの万感の思いというものが、
この仏壇に込められているのだなと知ると、感慨がある。
そのことを話してくれる作り手さんの表情にも、
影が映ったり、また光が差したりして、
ひとが、ひとのための家を建てている、という実感が伝わってくる。
これから,建てられたこの家が、
ながくこのご家族のあたたかい生き様を
見守っていってくれるようになることを願わざるをえない。
「結局、こうやって一軒一軒、
建て主さんの気持ちを汲んで、丹念に復興住宅を作っていくしかない」
そんな言葉が聞かれましたが、
深く、同意するところだと思います。
まだ、魂は入っていないお仏壇ですが、
心の中で、深く合掌させていただきました。
Posted on 9月 17th, 2013 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅取材&ウラ話
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