故あって、沖縄に来ております。
で、やはり住宅は基本的な興味分野と言うことで
もう何回も訪れているのですが、
沖縄中部の中城の旧家・中村家住宅を今回は2度訪れました。
何回観ても、その知恵の奥深さに圧倒される思いが強まる次第なのです。
しかも今回は、関西大学・環境都市工学部・建築学科による
住まいの温熱環境調査に基づく「中村家住宅のひみつ」というレポートも
手にすることが出来て、その最新の「住宅性能解剖」結果も
知ることが出来たのであります。
わたしは寒冷地・北海道東北での「住宅性能」の目、という
「科学する」視点というのが基本フィールドですが、
この蒸暑気候・沖縄での住宅にも同様のアプローチが試みられて
その最新知見が、この3月23日に発行出版されていたのです。
蒸暑地域気候条件下で、伝統的な住居はどのような
温熱環境的なふるまいを見せ、その具体的な手法はどうであるのか、
まことに興味の尽きない研究アプローチでして、
その労を多としたいと思います。
まぁ、そういう具体的な部分については、じっくりと読んでみてからとしたいのですが、
まことに「性能とデザイン」の精華を見せられる思いであります。
地域に生きて、その気候風土を読み取っていく中で
しかも伝統的な素材だけを使って、
パッシブに「住みごこちの良さ」を実現しているのです。
そして、独立王朝を持つ地域としての
本土社会や中国との建築的なコミュニケーションもかいま見えます。
家の作りようの基本は、畳による床が特徴的な
日本文化を感じさせますが、一方で
風水という、東アジアに広がった「環境解析技術手法」も
建築計画の下敷きに、しっかりと存在しています。
しかしながら、それがまた、中国からの輸入知識そのままではなく、
やはり日本的なアレンジが施されていて、
たとえば、建物配置などでは、中国的な定規で測ったような規格ではなく
やや融通無碍ともいえるような部分が見られます。
規格形・対称性重視から、やや不定形・非対称嗜好を感じさせられます。
やはり感受性の部分では、日本的といえると思います。
しかし、日射制御・熱環境コントロール手法については
まさに沖縄らしい独自の知恵がたっぷりと凝縮されています。
それが、みごとな意匠性をまとって、
強いエスニシティをもって訴えかけてきます。
素晴らしい、ほんとうにすごい迫力を感じさせられました。
中村家住宅、大好きであります(笑)。
Posted on 5月 13th, 2013 by 三木 奎吾
Filed under: 住宅取材&ウラ話, 住宅性能・設備
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